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令和5年第1回定例会(第6号) 本文 開催日: 2023-03-09
令和5年第1回定例会(第6号) 名簿 開催日: 2023-03-09

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  1. 茨城県議会 2023-03-09
    令和5年第1回定例会(第6号) 本文 開催日: 2023-03-09


    取得元: 茨城県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-12
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1                     令和5年第1回                 茨城県議会定例会会議録  第6号          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 令和5年3月9日(木曜日)午後1時開議          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◯石井邦一議長 これより本日の会議を開きます。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 諸般の報告 2 ◯石井邦一議長 諸般の報告をいたします。  2月21日以降3月7日正午までに受理をいたしました請願は、配付いたしました請願文書表第2綴のとおりでありまして、所管常任委員会に付託いたしましたので、報告をいたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 日程第1 第5号議案=ないし=第79号議案及び報告第2号 3 ◯石井邦一議長 これより議事日程に入ります。  日程第1、第5号議案ないし第79号議案及び報告第2号を一括して議題といたします。          ────────────────────────────── 県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑 4 ◯石井邦一議長 これより、県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を許します。  この際、申し上げます。  次の質問、質疑は、分割方式により行われます。  また、質問補助者が同席をいたします。
     なお、傍聴人の皆様に申し上げます。  傍聴人の拍手は禁止されておりますので、御留意願います。  高橋直子議員。                 〔17番高橋直子議員登壇、拍手〕 5 ◯17番高橋直子議員 いばらき自民党高橋直子でございます。  初めに、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々の御冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、罹患されました皆様にお見舞いを申し上げます。  また、このたび、県議会議員として3回目の一般質問をさせていただくことになりました。登壇の機会を与えてくださいました先輩議員、そして同僚議員の皆様に心より感謝申し上げます。  それでは、通告に基づきまして、順次、質問してまいりますので、大井川知事をはじめ県幹部の皆様には明快なる御答弁をお願いいたします。  初めに、一歩踏み込んだ少子化対策についてお伺いします。  少子化対策の大きな枠組みの中には、未婚化・晩婚化対策と、そして子育て支援があります。  少子化最大の要因である未婚化・晩婚化への対策というのは、言い換えれば、母が少なくなる少母化対策の一つであります。  県では、結婚したい人に対する支援を行っており、いばらき出会いサポートセンターにおいて、AIマッチングシステムなどを活用し、平成18年の開設以来、2,500組以上が成婚していると伺っております。  一方で、平成18年に1万6,029組だった本県の婚姻件数は、令和3年には1万21組と、6,000組、1万2,000人も減少している現状にあります。これは、若いときに適当な相手にめぐり合えずに結婚に至らないということに加え、仕事などに打ち込みたい、必要性を感じない、自由でありたいといった理由で、いずれ結婚したいと思いながらも、結婚を考えることが後手に回っている人が増えているからではないでしょうか。このいずれ結婚したい人への早めのアプローチこそが未婚化・晩婚化を食い止める一つのステップではないかと考えます。  出会いサポートセンターの前段階で、いずれ結婚したい人を対象とした入り口戦略として、例えば、若い男女が人生設計を考えることができる場を積極的につくっていくことが必要ではないでしょうか。  なぜ少子化が問題なのか、未来を担う若い世代こそ知る権利があるのです。  また、母になる選択をした女性が、生涯産む子どもの人数に相当する合計特殊出生率ですが、茨城県は全国平均を下回る1.44で、この数値も上げていく、いわゆる多子化のための子育て支援を行っていくべきであると考えます。  まず、複数の子どもを同時に育てる上で最初のハードルとなるのは、子どもが小さいうちの育児であり、支援の拡充が必要だとは思いますが、例えば、3人以上の子どもが欲しい場合には、第1子出産時の女性の全国平均年齢が約31歳であることを考えると、早い段階で続けて出産することを計画する家庭が多いのではないでしょうか。  しかし、女性の社会進出に伴い、仕事をしている女性が増えていることから、より多くの子どもが欲しくても、産休育休で長期間休むこと自体と、1人目から続けて3人目の育休に入る場合に、育児休業給付金がもらえなくなってしまうことがネックになっている現状があります。  また、女性経営者個人事業主においては、育休という制度すらないため、手当がないことはもとより、兄弟児が保育園を退園しなければいけない事例も出てきております。  こういったケースにおいても、国への働きかけや県独自の支援の検討も必要なのではないでしょうか。  さらには、将来的に子どもにかかる費用として、塾や習い事、今、県が積極的に進めている大学進学にかかる費用も大きなハードルとなります。高校までは無償化されますが、一般家庭で複数の子どもを大学へ送り出す費用の捻出は、時として、希望の人数を産むことを断念せざるを得ない事由になります。  そこで、未婚化・晩婚化対策をはじめ、一歩踏み込んだ少子化対策を今後どのように進めていくか、知事のお考えをお伺いします。  この項目の壇上からの質問は、以上です。 6 ◯石井邦一議長 高橋直子議員の質問、質疑に対する答弁を求めます。  大井川知事。                   〔大井川和彦知事登壇〕 7 ◯大井川和彦知事 高橋直子議員の御質問にお答えいたします。  一歩踏み込んだ少子化対策についてお尋ねをいただきました。  少子化の背景には様々な要因がありますが、50歳時点における男女の未婚率が急速に上昇していることや、平均初婚年齢と第1子出産時の平均年齢がいずれも1975年と比較して5歳程度上昇していることを踏まえますと、私は、少子化の最大の要因は未婚化・晩婚化であると認識しております。  このため、まずは、未婚化・晩婚化対策として、結婚を望む若い世代をターゲットに、いばらき出会いサポートセンターを中心に、AIマッチングシステムを活用しながら結婚支援を強化し、入会者数や交際開始件数が過去最高となる成果を上げているところであります。  今後は、こうした結婚を希望する男女を具体の成婚へつなげていくことが求められておりますので、相対的に少ない女性会員の増加を図るため、今年度、期間限定で実施している女性の入会登録料を無料とする取組を、来年度から通年化することにより、さらなる女性会員の掘り起こしを図ってまいります。  さらに、市町村や企業と連携した男女の出会いや婚活イベントの企画立案などを担う結婚支援コンシェルジュを新たに配置し、センターの会員はもとより、会員外の方との出会いの場の創出を通じて成婚数の増加につなげてまいります。  一方、未婚化・晩婚化の流れを変えていくためには、婚活に至る前の若い世代に、結婚や出産、子育てに対するポジティブな意識を醸成していくことが重要であります。  このため、高校生を対象に、若い夫婦と意見交換したり、直接赤ちゃんと触れ合うことができるライフデザインセミナーを開催し、意識啓発にも努めております。  事業開始以来、延べ60校で開催し、約1万名の高校生に受講いただき、大変好評を得ておりますことから、来年度は、単年度で過去最大となる20校を超える学校を対象に事業を拡充してまいります。  また、多子化につなげるための子育て支援につきましては、従業員の育児休業取得や職場復帰に対する支援などに積極的に取り組んでいる企業を優良事例として横展開し、育児休業の取得促進や子育てと仕事が両立しやすい職場環境づくりの普及啓発に努めております。  さらに、大学進学に要する費用については、経済的な理由で修学が困難な学生を対象に、日本学生支援機構が行う給付型奨学金制度の活用を周知するとともに、県が独自に行う奨学資金及び入学一時金を無利子で貸与する制度の活用を呼びかけております。  このような中、国においては、育児休業給付金について、その充実を含め、制度の在り方を総合的に検討するとともに、高等教育の修学支援制度についても、多子世帯など中間所得層への拡充を検討していることから、子育て世帯のニーズを踏まえ、国に対し、これらの制度の拡充が図られるよう、強く働きかけてまいります。  県といたしましては、全ての県民が安心して結婚や出産、子育ての希望をかなえられるよう、切れ目のない少子化対策に全力で取り組んでまいります。 8 ◯石井邦一議長 高橋直子議員。                   〔17番高橋直子議員登壇〕 9 ◯17番高橋直子議員 10代、そして20代前半は、ドラマや漫画のようなすてきな結婚に夢を抱いていた男女が、社会に出て、現実を見て、結婚を後手に回す。これは私たち大人の責任かもしれません。  知事、茨城県は、若者に夢を見せられる、そんな県でなくてはなりません。  また、民間の調査では、理想の人生経歴として、仕事と子育ての両立を望む女性の割合が子育て後に再就職や専業主婦を上回ったという結果があります。仕事や家事、育児の両立を実現できる環境の整備により、希望の人数の子どもが持てる社会でなくてはなりません。  少子化対策の大胆な挑戦を期待申し上げ、次の質問に移ります。  次に、デジタルデバイドに配慮した行政のデジタル化の推進についてお伺いします。  スマートフォンタブレット端末の普及が始まってから約15年がたちました。私たちの生活の中の様々な場面においてデジタル機器デジタルサービスに触れる機会が増え、日常生活において欠かせないものとなっています。  例えば、経路やスケジュールを利用者の予約に応じて運行するデマンドタクシーデマンドバスの利用、飲食店でのタブレットの端末を使った注文、オンラインによる行政手続など、今後、さらに日常生活におけるデジタル化は進んでいくことでしょう。  デジタル機器があれば何でもできる便利な社会になっていく反面、デジタル機器の操作が分からなくて、出かけたくても出かけられない人など、社会の中で取り残されてしまう人が出てきてしまうのでないかと懸念しております。  こういったインターネットなどを利用したり使いこなしたりできる人と、そうでない人の間に生じる格差のことをデジタルデバイドと言います。  総務省が実施している令和3年通信利用動向調査の結果によると、インターネットを利用している人に占めるフェイスブックやツイッターをはじめとしたSNSを利用している人の割合は、60代では7割、70代では6割を超えますが、80代では約半数となっています。今がちょうど過渡期で、これから20年後には現在の60代の人たちが80代になり、デジタル機器を使うことがより一般的になってくるとは思いますが、現在の特に80代以上の方に対しては、より手厚い支援が求められます。  ただ単にスマートフォンを使えるかどうかの次元ではなく、スマート自治体への転換が進む中で、日常生活上の様々なサービスを受けられなくなるなど、置き去りになる人をつくらないという次元で考えるべき課題であると思います。  人口減少が進む中、デジタル技術やAIなどの活用による業務の効率化や県民の利便性の向上のため、県においては、デジタルトランスフォーメーションの取組が強力に進められているところだとは思いますが、デジタルデバイドにも十分に配慮いただきたいと考えます。  そこで、県では、デジタルデバイドにどのように配慮し、行政のデジタル化を進めているのか、また、今後どのように進めていくのか、政策企画部長にお伺いします。  この項目の壇上からの質問は、以上です。 10 ◯石井邦一議長 北村政策企画部長。                   〔北村政策企画部長登壇〕 11 ◯北村政策企画部長 デジタルデバイドに配慮した行政のデジタル化の推進についてお答えいたします。  新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、社会全体でデジタル化が急速に進展しており、ネットショッピングウェブ会議による遠隔での友人等との交流など、デジタルサービスは生活の利便性向上に大きな効果をもたらしております。  今後、さらにデジタル化を進めるに当たっては、住む地域や、年齢、性別、障害の有無等にかかわらず、誰もがデジタル化の恩恵を享受することにより、豊かさを実感できることが重要であるとともに、デジタルを介した新たな格差が生じないように十分に配慮することが必要であると考えております。  しかしながら、現状では、議員御指摘のとおり、年齢が上がるにつれて、スマートフォン等デジタル機器の保有率やインターネットの利用率は低下している状況にあることから、高齢者の方々にデジタル機器操作方法等を身につけていただくことが重要であります。  このため、県といたしましては、高齢者等デジタル活用の不安解消に向けて、国が実施しておりますスマートフォンの利用法に関する助言・相談等を行う講習会の開催や、講師派遣等の支援策を積極的に活用するよう、市町村に働きかけているところであり、今年度は、2月末までに、県内32市町村、107か所において講習会が開催されております。  また、行政手続についてデジタル化を進める際に、デジタル機器に不慣れな方にも分かりやすく、操作しやすいよう、ユーザーインターフェースを向上させることも重要であります。  このため、県では、例えば、オンラインによる行政手続の窓口となりますいばらき電子申請届出システムにつきまして、手続のリストを一覧形式からアイコン的な形式に変更するほか、文字の大きさや色づかいを見やすいものにするなど、多くの県民の皆様に御利用いただくための改善に努めているところでございます。  このような取組により、高齢者等デジタルリテラシーの向上を図りつつ、今後も、当面の間は、対面や電話での相談、紙での手続等にも応じるなど、きめ細かく対応していく必要があると考えており、住民に最も身近な市町村におきましては、こうした対応が一層重要であります。  こうした中で、議員の地元土浦市におきましては、住民の方々が市役所本庁舎に出向くことなく、最寄りの支所や公民館等で、職員とテレビモニター越しに対話しながら、様々な手続ができる「つちうらリモートコンシェルジュ」を導入しております。  高齢者に限らず、デジタル機器の操作に自信がないといった方々にも親しみやすいシステムであり、このような住民目線に立った新しい取組について、市町村に情報提供を行うとともに、積極的な導入を働きかけてまいります。  県といたしましては、今後とも、市町村と連携しながら、デジタルデバイドに配慮した行政のデジタル化を推進してまいります。 12 ◯17番高橋直子議員 再質問します。 13 ◯石井邦一議長 高橋直子議員。 14 ◯17番高橋直子議員 政策企画部長に、具体に落とし込んだデジタルデバイドの対策について再質問します。  先ほども申し上げたとおり、今やデジタル化日常生活で当たり前のものとなっております。公共交通やタクシー、病院の予約、食品のデリバリーなど、特に高齢者の生活を支える分野のデジタル化も進んできております。  高齢者に寄り添った形で行政手続が行えるようになることはもちろんですし、講習に出向いてくださる方、情報をキャッチしてくださる方に対して、その情報を発信することはもちろんなのですが、デバイド世代の積極的なデジタル社会への参加支援、つまり、重い腰を上げてデジタル社会に参加してくださるようにしていくといった視点での支援も必要ではないでしょうか。  そこで、デバイド世代の具体的な支援方法について、政策企画部長に再度お伺いいたします。 15 ◯石井邦一議長 北村政策企画部長。                   〔北村政策企画部長登壇〕 16 ◯北村政策企画部長 再質問にお答えいたします。  今後、社会全体でデジタル化が一層進んでいくものと予想されることから、まだスマートフォン等を利用していない方々に、デジタルサービスの便利さを理解し、関心を持っていただくことがまず重要と考えております。  その第一歩として、日常生活において、身近なスマートフォンの利用を実際に体験していただくことが効果的であると考えられますので、携帯電話ショップなどでの講習会に積極的に御参加いただけるよう、一層呼びかけてまいります。  また、県内の産学官で構成する茨城県高度情報化推進協議会があります。ここにおきまして、メンバーとなっております企業や団体等に対しまして、高齢者の方々にも分かりやすく、使いやすいアプリやデジタルサービスの開発や普及について検討していただくよう、周知を図ってまいりたいと考えております。 17 ◯石井邦一議長 高橋直子議員。                   〔17番高橋直子議員登壇〕 18 ◯17番高橋直子議員 前向きな御答弁をいただきました。  私にはもう80代の同居家族はおりません。でも、家族同様の地元の高齢者の方々が、年齢に関係なくデジタルの恩恵を受けられ、地域の中で生き生きと暮らせる社会の実現こそが現代の超高齢社会において重要と考えます。  デバイド世代を積極的に巻き込んだデジタル化の推進を期待いたしまして、次の質問に移ります。  次に、誰もが平等に歯科治療口腔ケアを受けられる体制の充実についてお伺いいたします。  皆さんが食事を楽しむときなどに使っている歯。私は、現役の歯科医師としても、これまでにたくさんの患者さんを診療してまいりました。  虫歯や歯周病に代表される歯科疾患は、その発病や進行により、最終的には歯を失ってしまうことにつながるため、私たちの食生活や社会生活などに支障を来し、ひいては、全身の健康に影響を及ぼすものです。  また、歯と口腔の健康を保つことは、単に食べ物を咀嚼するという点だけでなく、食事や会話を楽しむなど、豊かな人生を送るための基礎となるもので、人生100年時代の幸福度を左右すると言っても過言ではありません。  さらに、これからの歯科医師の役割は、虫歯治療だけでなく、口腔ケアへの拡大・転換をしていくことで、その上で継続的な口腔ケアを行うことが、疾病を予防し、県民の健康寿命の延伸につながっていくものと考えております。  中でも、障害者や障害児の方々に対する継続的な歯科治療口腔ケアは大変重要であり、本県において、その役割を担っているのが県歯科医師会が運営する口腔センターであります。  障害の程度にもよりますが、中には、治療に対し、強い恐怖心を抱いたり、言葉での意思表示などが難しい方も多くいます。麻酔科医などを導入し、静脈内鎮静下で治療を行うことで安全に治療ができるよう、専門医による非常にきめ細やかな配慮が求められます。  日常的な介護や医療的ケアが必要な方、身体や精神に障害がある方など、歯科口腔保健の推進のためには、専門性の高い技術や知識を持った歯科治療口腔ケア等を受けられる体制の充実が必要であると考えております。  そこで、誰もが平等に歯科治療口腔ケアを受けられる体制の充実に向けた県の取組について、保健医療部長にお伺いします。  この項目の壇上からの質問は、以上です。 19 ◯石井邦一議長 森川保健医療部長。                   〔森川保健医療部長登壇〕 20 ◯森川保健医療部長 誰もが平等に歯科治療口腔ケアを受けられる体制の充実についてお答えいたします。  歯と口腔の健康は、県民が健康で質の高い生活を営む上で大変重要であり、虫歯や歯周病の治療だけでなく、継続的な口腔管理を行うことが大切であると認識しております。  このため、県では、県の歯科保健計画に位置づけております第3次健康いばらき21プランに基づき、関係機関と連携し、県民の生涯にわたる歯と口腔の健康づくりを総合的に推進しているところでございます。
     中でも、障害のある方の口腔管理につきましては、その障害の種類や程度に応じた対応が必要となりますので、適切な口腔ケアを受けることができるよう、歯科衛生士や保健師が障害者施設を訪問し、施設の利用者や職員などを対象として、障害の特性に応じた口腔ケアの方法を指導しております。  加えて、茨城県歯科医師会や茨城県歯科衛生士会の御協力を得て、歯科医師、歯科衛生士、障害者施設や特別支援学校の職員などを対象とした障害のある方への歯科診療や口腔ケア、摂食嚥下などに関する研修の実施などを通じて、障害のある方の歯科保健医療に関わる職員の資質向上に努めているところでございます。  また、茨城県歯科医師会では、電話相談窓口を設置し、障害のある方が在宅歯科医療を受けられる歯科診療所の紹介等を行っているところです。  今後は、県におきましても、茨城県歯科医師会と連携し、障害の程度や口腔内の状況に応じた歯科治療や継続的な口腔管理のできる歯科診療所の情報を発信することにより、身近な地域でも歯科診療を受けることができるよう、取組を進めてまいります。  一方で、議員の御案内のとおり、障害のある方の中には、歯科治療に当たって強い恐怖心を抱く方がいるなど、地域の歯科診療所では対応が難しい場合がございます。  そのような場合には、茨城県歯科医師会が運営する口腔センター水戸と土浦のように、障害の程度や口腔内の状況に応じて、外部からの刺激を遮断できる個室や、車椅子から乗り降りしやすい特殊な歯科診療ユニットのほか、抑制具や全身麻酔法などを適用できる体制を備えている歯科診療所の役割は大変大きいものと認識をしております。  そのため、県では、茨城県歯科医師会に対して、口腔センターの運営費の補助を行うとともに、専門の歯科診療ユニットや全身麻酔装置の設置などに対する補助を行い、歯科診療体制の整備を図っております。  また、茨城県歯科医師会では、口腔センターでの専門的な治療が終了した方のうち、その後の診療について、障害が軽度で一般歯科医師でも十分対応できると思われる方については、地元の歯科診療所に紹介するという障害者歯科医療連携ネットワークの構築も進めているところです。  県といたしましては、引き続き、関係機関と連携し、障害のある方に対応する歯科診療体制の確保を図るとともに、県民の虫歯や歯周病の予防などの歯科口腔保健対策を推進することにより、誰もが平等に歯科治療口腔ケアを受けられる体制の充実に努めてまいります。 21 ◯石井邦一議長 高橋直子議員。                   〔17番高橋直子議員登壇〕 22 ◯17番高橋直子議員 歯科保健対策について御答弁をいただきましたが、特に麻酔科医は、安全な歯科治療の提供や全身の管理などの理由で、大変重要な位置づけとなります。  歯科麻酔科医は、現在、県内に専門医が2人、認定医であっても9名、十分な人数とは言えず、都心から麻酔科医の派遣等にかかる歯科医療機関または患者さんの費用負担は経営や生活を逼迫するものと聞いております。  こういった現状を考慮の上、口腔センターへのさらなる支援をいただけるよう要望し、次の質問に移ります。  次に、中小企業への伴走支援としてのビジネスマッチングなどの場の創出についてお伺いします。  国や県では、令和2年から流行が始まった新型コロナウイルス感染症の影響などにより、経営が苦しい中小企業に対し、金銭的な支援を行ってきたと思います。  今後、本格的な返済がスタートしていくに当たり、県から金融機関に対しては、返済が厳しい企業の貸付条件の変更といった柔軟な対応を要請いただくなど、限られた財源の中で、できる限りの経済的支援をしていただけていると感じます。  しかしながら、この経済的支援を半永久的に続けていくことは現実的ではないため、企業経営の抜本的な改善につながるような施策が必要であると考えます。  企業における要の活動の一つとして、他社への営業活動が挙げられると思いますが、これを積極的に行っていくためには、たくさんの人材と経費、時間が必要です。  そのため、この営業活動にかかるコストを減らして、企業経営の改善につなげていくという視点も重要ではないかと私は考えます。  実際、地元の商工会議所が主催して異業種交流会などを行っていますが、商工会議所に所属している企業内での交流であり、エリアが限られてしまうため、県内全域や、さらには県を越えた異業種交流会などの場も選択肢の一つとしてあるといいなという声を現場から伺っております。  県は、既に、ものづくり産業分野においてビジネスマッチングの取組をされていると伺っておりますが、より多くの中小企業が参加できるよう、さらに取組を強化していただくとともに、多くの業種においても、参加できる取組を進めていただくことで、県内の中小企業全体のビジネスチャンスが広がっていくのではないでしょうか。  そこで、中小企業への伴走支援としてのビジネスマッチングなどの場の創出についてどのように考え、今後どのように取り組んでいくか、産業戦略部長にお伺いします。  この項目の壇上からの質問は、以上です。 23 ◯石井邦一議長 榊原産業戦略部長。                   〔榊原産業戦略部長登壇〕 24 ◯榊原産業戦略部長 中小企業への伴走支援としてのビジネスマッチングなどの場の創出についてお答えいたします。  コロナ禍や原油・原材料の高騰に加えて、労働力人口の減少や経済のグローバル化など、中小企業を取り巻く経営環境は大変厳しさを増しております。  そうした中で、今後も中小企業が持続的に発展していくためには、新しい製品や新しいサービスなどを開発し、新たな事業展開や販路開拓などによる収益力の向上につなげていく必要があるというふうに考えてございます。  そのため、幅広い業種の企業を対象に、異業種との交流やマッチングの場の創出を図り、ビジネスチャンスを広げていくことが重要であるというふうに考えております。  具体的には、海外からの受注も含め、幅広い業種への販路拡大に向けまして、いばらき中小企業グローバル推進機構に配置した専門家を活用し、県内外の大手企業等に製品や技術をPRするとともに、展示会や商談会への出展支援などを行い、県内企業への新たな販路開拓やマッチング機会の創出を促進しているところでございます。  最近では、海外の新興国に向けて、鉄道インフラ設備の製作を受注した事例や、産業ロボットメーカーから部品製造を受注した事例など、毎年50件以上の新規案件の獲得につながっており、引き続き、販路の拡大に努めてまいります。  また、今年度からの新たな取組といたしまして、ものづくり企業と独創的なアイデアを持つベンチャー企業や最先端技術を有する研究機関とのマッチング会をつくば市や日立市で開催いたしました。  これにより、AIを活用し、振動データからトンネルや橋梁などの劣化を把握する装置の開発につながった事例もあり、今後も、新たな連携による新製品の共同開発、受注の確保など、中小企業の新たなビジネスチャレンジをしっかりと後押ししてまいります。  さらに、幅広い業種でのビジネスマッチングや異業種の交流を促進するため、ものづくり産業に加え、小売業、飲食業など様々な業種の中小企業が会員となっている商工会や商工会議所において交流会や展示会などを開催しております。  例えば、県西地区の3市町にまたがる複数の商工会が連携して、大型商業施設において、酒造業や食品製造業を営む事業者が参加する物産展を開催しており、事業者間の交流や新たな顧客の獲得、販路の開拓につなげているところでございます。  一方で、こうした取組の多くは、通常は商工団体単位で実施されておりまして、地域や規模が限られますことから、ビジネスマッチングの機会を増やすため、今後、複数の商工団体が連携し、広域化して開催できるよう積極的に働きかけをしてまいります。  そのほか、県内金融機関におきましても、ものづくり関連事業のみならず、食品関連事業を対象とした隣県との合同商談会や、海外の販路を持つ大手企業と直接つながることができる個別相談会などを開催しているところでございます。  県といたしましては、産業支援機関や商工団体、民間企業などと十分に連携しながら、ビジネスマッチングなどの場について、積極的に情報を発信し、その活用を促していくことにより、事業拡大に意欲のある中小企業をしっかりと支援してまいります。 25 ◯石井邦一議長 高橋直子議員。                   〔17番高橋直子議員登壇〕 26 ◯17番高橋直子議員 ビジネスマッチングの裾野拡大に取り組んでいただくとの御答弁をいただきましたが、現段階で、製造業以外の業種に特化したビジネスマッチングはなく、県の中小企業のニーズに追いついていないという実態があります。  広く業種間の交流が活性化し、ひいては県内企業の成長と拡大につながるよう、積極的に今後も取り組んでいただくことを要望いたしまして、次の質問に移ります。  次に、環境にやさしく持続可能な農業の推進についてお伺いいたします。  日本の食料自給率は38%で、残りは海外からの輸入に頼っている状況でありますが、農業に欠かせない化学肥料の原料についてはほぼ全てを輸入しているため、実際の自給率としてはさらに低く、その高騰は日本の農業の持続可能性を脅かします。  県では、国内で調達が可能な堆肥の活用促進に向け、畜産農家と耕種農家をつなぐたい肥コーディネーターを設置するほか、たい肥ナビというサイトを開設するなど、農家同士のマッチングを進める支援メニューなどを御用意していただいておりますが、実際には、畜産農家サイドにおける原料の産出の実態にはばらつきがあり、耕種農家サイドからは、堆肥の購入先や効率的な利用の方法が分からないといった声を伺っております。  また、それぞれのメニューが点在していて、線で結ばれていない状況にあると感じています。  県の農林事務所が、市町村やJAなどに対して、具体的に実務に落とし込んだ事業周知をしていただくようお願いしたいと考えます。  また、長期的な視点の中でも、堆肥需給の拠点となるセンター施設の整備は必要であると考えます。  その一方、本当の意味で食料自給率を高め、持続可能な農業を実践するためには、化学肥料の原料を国内で調達するだけでなく、環境負荷低減につながる有機農業の取組を進めていく必要があると考えております。  国が策定しているみどりの食料システム戦略の中でも、2050年までに化学農薬の使用量を50%減らすことや、耕地面積に占める有機農業の取組割合を25%拡大することなどが掲げられています。  そこで、環境にやさしく持続可能な農業の推進を図るため、今後どのように取り組んでいくのか、農林水産部長にお伺いいたします。  この項目の壇上からの質問は、以上です。 27 ◯石井邦一議長 上野農林水産部長。                   〔上野農林水産部長登壇〕 28 ◯上野農林水産部長 環境にやさしく持続可能な農業の推進についてお答えいたします。  我が国の食料自給率は38%と、諸外国と比較しても低い状況にあり、肥料についても、その原料の多くを海外に依存していることから、今般、化学肥料の価格が高騰したことにより、農業者の経営に大きな影響が生じているところです。  県では、このような状況下においても本県農業が持続的に発展していくためには、肥料の国産化を進めていくことが急務であると考え、化学的に合成された肥料や農薬を使用しない有機農業の取組は大変重要であると認識しております。  また、その生産物は、付加価値の高い有機農産物として、通常の農産物よりも高値で取引されることから、県では、儲かる農業を実践する取組の一つとして有機農業の推進に取り組んでいるところです。  その結果、常陸大宮市においては、大規模な有機モデル団地が形成されたほか、昨年6月の補正予算で創設したいばらきオーガニック生産拡大加速化事業により、県内各地において新たな有機農業の取組が開始され、有機JAS認証取得面積の大幅な拡大が見込まれるなど、着実に成果が現れてきております。  一方、農家が有機農業に取り組むに当たっては、品質のよい堆肥を安定して確保することが不可欠であるため、県では、たい肥コーディネーターを設置し、畜産農家と耕種農家のマッチング支援や堆肥の利用技術の普及指導などを行っているところです。  また、県内の堆肥情報を一元化して、ホームページ上でたい肥ナビとして公表し、作物や栽培方法などに応じ、堆肥の最適な施肥量や堆肥を生産する畜産農家を明示するなど、堆肥の円滑な流通に向けた取組を進めております。  しかしながら、議員御指摘のとおり、新たに堆肥の活用を検討している耕種農家においては、これらの支援内容が十分に行き届いていないことや、システムの操作が難しいなどの課題があることも承知しております。  このため、県では、これらの支援策が効果的に活用されるよう、普及センター等が中心となって相談に応じるとともに、たい肥ナビの操作性の改善や農業者への周知などを行い、引き続き、堆肥の利活用の促進を図ってまいります。  また、議員御提案の堆肥の拠点センターにつきましては、整備費や運営費に加え、堆肥の運搬コストが上乗せされることにより、堆肥の価格が上昇してしまうことも想定されるため、まずは、たい肥ナビの改善や農業者に対する支援制度の周知などを通じ、各地域の耕種農家や畜産農家の連携を図り、堆肥の利活用を促す取組をしっかりと進めていきたいと考えます。  さらに、有機農業の推進に向けても、効果が最大限に発揮できるよう、支援策をパッケージ化した有機農業推進関連事業を本定例会に提案したところです。  本事業では、供給能力の向上につながる機械の導入や有機JAS認証の取得等を支援するほか、生産者と実需者のマッチング、有機農業に関する指導員の育成、土づくりの取組等を総合的に支援してまいります。  県といたしましては、こうした支援を通じ、環境にやさしく持続可能な農業を強力に推進することで、本県農業の持続的発展に取り組んでまいります。 29 ◯石井邦一議長 高橋直子議員。                   〔17番高橋直子議員登壇〕 30 ◯17番高橋直子議員 今回は、持続可能な農業を推進するための入り口戦略について質問させていただきましたが、出口戦略も有機農業の要であり、大変重要であります。  有機JAS認証のものを買いたいという目的でスーパーに行く主婦が今時点では一体どのくらいいるでしょうか。有機農業に取り組むメリットや有機農産物のよさのPRはもちろん、食育や地産地消の柱として、有機農産物の学校給食への利用や、流通販売を担う民間業者との連携などを積極的に進めていただくことを要望いたしまして、次の質問に移ります。  次に、学校現場の実情に落とし込んだ教員の負担軽減についてお伺いします。  国の中央教育審議会において、教員の働き方改革に関し、平成29年に示された、これまで学校・教師が担ってきた代表的な業務の在り方に関する考え方の中において、本来は誰が担うべき業務であるか、負担軽減のためにどのように最適化を図るべきかの2点から、必要な環境整備を行いつつ、学校・教師以外の主体に積極的に移行していくという視点に立って考え方が整理されました。  この件につきましては、補助資料を御用意しておりますので、1ページ目を御覧ください。  このうち、「学校の業務だが、必ずしも教師の担う必要のない業務」や、「教師の業務だが、負担軽減が可能な業務」について、県において、昨年度まで、国が主導の事業である学校サポーターを各学校に派遣し、新型コロナウイルス感染症対策のほか、プリントの丸つけ、授業の補助、給食の準備などの業務を担当していただいておりました。学校現場からは、「教員の業務負担が軽減され、大変ありがたい」と、評価が非常に高かったと伺っております。  次に、補助資料2ページ目を御覧ください。  一例ではございますが、土浦市における教員の時間外勤務状況のグラフです。  働き方改革が進む中、学校サポーターだけが時間外勤務の改善に寄与しているわけではありませんが、少なくとも土浦市の校長会では、このように教員の時間外労働が減ったと、大変助かったとお示ししております。  今年度は、県において、学校サポーター事業が実施されなかったため、国からの補助金を受け取ることができず、土浦市をはじめ、つくば市やかすみがうら市などでは市の負担でこの事業を実施しております。  しかし、教員の負担軽減につながる取組として、こういった事業を進めることも大変重要であると私は感じておりますため、県におきましては、学校サポーターに代わって教員の負担軽減につながる業務を担っていただける人材を配置いただければと思います。  そこで、学校現場の実情に落とし込んだ教員の負担軽減についてどのように考え、今後どのように取り組んでいくのか、教育長のお考えを伺います。  この項目の壇上からの質問は、以上です。 31 ◯石井邦一議長 森作教育長。                    〔森作教育長登壇〕 32 ◯森作教育長 学校現場の実情に落とし込んだ教員の負担軽減についてお答えいたします。  県では、教員が本務である児童生徒への指導や教材研究にしっかりと取り組む時間を確保し、子どもたちの学びの質を高めることができるよう、教員が本来担うべき業務を整理し、負担軽減を図ってきたところです。  例えば、学校や教師が担ってきた業務の中で、児童生徒の登下校の見守りや校内環境整備に係る除草作業など、必ずしも教員が行う必要がない業務は、各学校の保護者や地域ボランティアに担っていただくなど、教員の負担軽減に取り組んでおります。  なお、議員から御提示いただきました土浦市の例につきましては、学校サポーターの配置だけではなく、学校行事の削減・見直しや校務支援システムの導入などにより、業務内容が大幅に縮減された結果であると考えます。  学校サポーターにつきましては、新型コロナウイルス感染対策により、学校内の消毒作業や児童生徒の健康管理などの業務が生じたため、2020年度は小中学校等の約86%に当たる591校に、2021年度は約77%に当たる523校に配置いたしました。  そのような中、各学校において、感染対策に係る設備や消耗品などの整備を進めたことにより、感染症発生当初に比べて効率的に作業が行えるようになったことから、学校サポーターは当初の目的を達成したと考えております。  一方、県では、2019年度から障害のある方をスクール・サポート・スタッフとして配置し、データ入力、集計、資料整理、環境整備など教員の補助業務を行うことで、障害者の雇用の促進と教員の負担軽減を図っており、今年度は108校に配置しております。  また、小学校では、児童の学力の向上を図るとともに、教員の働き方改革の一環として、学級担任の空き時間を確保するため、より専門性が求められる外国語や理科、算数を中心に専科指導教員を配置しております。  国は、昨年から小学校高学年の教科担任制を本格的に導入しましたが、本県においては、2020年度より国に先駆けて積極的に専科指導教員の配置を進めており、本年度は、小学校の約9割に当たる409校に配置し、さらに来年度は県内全ての小学校に配置してまいります。  専科指導教員の配置により、教員からは、空き時間が増え、授業準備や事務作業をする時間が確保できるようになったとの声があり、確実に負担軽減につながっております。  さらに、各学校では、ICTの活用による効率化やペーパーレス化、学習教材の共有化など、業務の実施方法を見直し、教員の負担軽減に取り組んでおり、今年度は学校サポーターの配置はありませんが、時間外勤務が月45時間を超える教員の割合を昨年度と比較しますと、小学校においては平均で約2割減、中学校においても減少が見られるなど、改善が図られています。  県といたしましては、引き続き、業務の精選を図るとともに、小学校における専科指導の充実や、これまで配置してきたスクール・サポート・スタッフの活用を進めていくことなどにより、教員の負担軽減に努めてまいります。 33 ◯17番高橋直子議員 再質問します。 34 ◯石井邦一議長 高橋直子議員。 35 ◯17番高橋直子議員 教育長に、スクール・サポート・スタッフについて再質問いたします。
     昨年度、県においては、676校中、学校サポーターの利用が約77%だったのに対し、スクール・サポート・スタッフの配置されているのは14%ほどになっております。  学校サポーターとスクール・サポート・スタッフでは配置の目的が違うことに加え、スクール・サポート・スタッフは、県が示す設置要件の中の第6条の業務内容も異なっております。  このため、スクール・サポート・スタッフへの完全な移行は十分とは言えず、それ以外にも学校サポーターと同様の業務を行うことができ、教員の負担軽減につながる人材の雇用や活用も進めていくことが必要ではないかと考えます。  そこで、各学校におけるスクール・サポート・スタッフの人材の雇用拡大や活用について、今後の方針を教育長に伺います。 36 ◯石井邦一議長 森作教育長。                    〔森作教育長登壇〕 37 ◯森作教育長 再質問にお答えいたします。  先ほども答弁いたしましたが、スクール・サポート・スタッフは、障害者の雇用の促進と教員の負担軽減を図る目的で配置しており、教員の補助業務を行っております。  今後も、引き続き、これまで配置してきたスクール・サポート・スタッフを活用するとともに、まずは小学校専科指導の充実や業務の精選などにより、さらなる教員の負担軽減を図ってまいります。 38 ◯石井邦一議長 高橋直子議員。                   〔17番高橋直子議員登壇〕 39 ◯17番高橋直子議員 「名もなき家事」という言葉を御存じでしょうか。言葉のとおり、名前もつかない、でも、ちりも積もれば山となるような家事のことです。  学校現場にも「名もなき業務」のようなものが多々あるのではないかと思います。効率化によってなおも削ることができない業務、猫の手も借りたい現場では、1分1秒でもサポーターの存在が助かると聞いております。  必要な学校に早期に必要な支援が行き渡る制度の見直しを要望し、次の質問に移ります。  最後に、茨城県性暴力の根絶を目指す条例の制定を受けた生命の安全教育の推進についてお伺いいたします。  内閣府は、性暴力や性犯罪について、「望まない性的な行為は性的な暴力に当たります」と定義していますが、性暴力という言葉と、加害者が罪に問われる性犯罪という言葉の間には大きな隔たりがあり、性暴力の中のほんの一部だけが性犯罪として処罰の対象になっているという現状にあります。  魂の殺人とも言われる性暴力・性犯罪は絶対になくさなければならないものです。  このような中、本県におきましては、昨年11月、私もプロジェクトチームの一員として携わってまいりました茨城県性暴力の根絶を目指す条例が議員提案により制定されました。  この条例の柱の一つとして、3歳以上の子どもとその保護者に対し、発達段階に応じた性暴力の根絶に資する総合的な教育と啓発を行うことが規定されています。性暴力の加害者・被害者・傍観者にならないためにも、小さい頃からの教育と保護者に対しての啓発が大変重要であると考えます。  県内においても、幼稚園や保育所、私立小学校においては、子どもや保護者に向けて、既に生命の安全教育のような性に対する教育が始まっているところもあります。  令和5年4月からは、国が作成した教材を活用した生命の安全教育が全国で本格的に実施されると伺っております。学校現場の声を聞きながら、子どもたちがこの教育を平等に受けられるようにするため、県内の学校の間で差が出ないよう、フォローアップできるような体制の構築が必要であると考えます。  また、子どもたちの心のケアなどに当たるスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーについては、カウンセラーの配置が月に一度程度の学校もあると聞いておりますので、その拡充も視野に入れていただきたいと考えます。  そこで、茨城県性暴力の根絶を目指す条例の制定を受けた生命の安全教育について、今後どのように進めていくか、教育長のお考えを伺います。  この項目の壇上からの質問は、以上です。 40 ◯石井邦一議長 森作教育長。                    〔森作教育長登壇〕 41 ◯森作教育長 茨城県性暴力の根絶を目指す条例の制定を受けた生命の安全教育の推進についてお答えいたします。  性犯罪・性暴力は、被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為であり、その心身に長期にわたり重大な悪影響を及ぼすものであることから、その根絶に向けた取組や被害者支援が必要でございます。  国においては、2020年度から2022年度までの3年間を性犯罪・性暴力対策の集中強化期間として、性暴力がもたらす影響を正しく理解した上で、命を大切にする考えや一人一人を尊重する態度などを学び、子どもを性暴力の当事者にしないための生命の安全教育を推進しております。  本県におきましても、文部科学省が作成した資料や動画教材、指導の手引などについて、教員を対象とした研修会において、授業で有効に活用する方法を指導してまいりました。  その結果、小学校では、大学の教員や保健師などの外部講師と連携しながら、プライベートゾーンを題材にした絵本も活用して、低学年児童でも理解しやすい授業を行っている学校もございます。  また、中学校や高校では、医師や助産師等を招いて実施している性に関する講演会において、これまでの性教育の内容に加え、デートDVなどの対処に関する講演のほか、ロールプレイを活用して、SNSで誘いを受けたときの対処法などを取り上げ、性被害につながりかねないリスクを考えさせる事例もございます。  このように、性教育と合わせて、性犯罪や性暴力について生徒同士で考えさせることにより、性に関する知識だけでなく、自分や相手を尊重し、大事にすることの重要性などについて理解を深める取組が進んでおります。  こうした中、昨年11月の茨城県性暴力の根絶を目指す条例の制定を受け、就学前から高等学校まで、子どもたちへの生命の安全教育を一層充実させていく必要がございます。  県では、現在、各学校で生命の安全教育にどのように取り組んでいるか調査を行っているところですが、今後は、この調査結果における好事例を共有するとともに、その活用を促すことで、全ての学校で生命の安全教育が充実するよう努めてまいります。  あわせて、保健体育や特別活動等、学校の教育活動全体を通して、全ての子どもたちが生命の尊さを学び、性暴力の根底にある誤った認識や行動を正しく理解することができるよう、指導時間の確保に努めてまいります。  また、スクールカウンセラーの配置やスクールソーシャルワーカーの派遣につきましては、児童生徒の不安や悩みに対し、きめ細かな対応ができるよう充実を図ることで、さらなる相談体制を充実してまいります。  県といたしましては、子どもたちが、自分以外の人を敬う態度を身につけ、性犯罪・性暴力の加害者・被害者・傍観者にならないよう、生命の安全教育にしっかりと取り組んでまいります。 42 ◯17番高橋直子議員 再質問します。 43 ◯石井邦一議長 高橋直子議員。 44 ◯17番高橋直子議員 先ほどの答弁で、学校内での「生命の安全教育」について御答弁いただきましたが、この「生命の安全教育」、生命が尊いものだということを認識させる、これは、家庭で、保護者の方が児童生徒に対して指導する、そういったことも非常に重要でありますし、このように教育が変わっていく中で、家庭での理解、どんなことを教えてもらって、どういったことを自分たちが発信したらいいのか、そういった保護者の知識といった面でも非常に重要だと思っております。  今、教員の働き方改革によって、先生方の業務が見直される中で、家庭での関わり方、家庭の保護者の方と先生との関わり方、家庭訪問などが民生委員の方に委託されるという中で、どのように学校現場と家庭をつないでいくというような方針で教育長は考えていらっしゃるでしょうか。お伺いいたします。 45 ◯石井邦一議長 森作教育長。                    〔森作教育長登壇〕 46 ◯森作教育長 再質問にお答えいたします。  条例において、保護者に対しても、性暴力根絶に資する啓発について規定されているとおり、子どもの些細な変化に気づけるよう、保護者の理解も重要であると考えております。  そのため、性犯罪・性暴力は身近にいる人から受けることが多かったり、被害が表面化しにくいことを保護者に十分に理解していただくとともに、子どもに直接指導が難しい内容を共有するなど、教員と保護者で子どもを守る環境をつくってまいります。  県といたしましては、各学校において、それぞれ行っている授業等での取組について、保護者と情報共有し、子どもたちが性犯罪・性暴力の被害に遭わないよう、保護者への啓発にも努めてまいります。 47 ◯石井邦一議長 高橋直子議員。                   〔17番高橋直子議員登壇〕 48 ◯17番高橋直子議員 犯罪が多様化する現代において、正しい知識と情報で自分の身を自分で守る心構えは必須であると認識しています。  昔とは違う、その意識で新しい性教育の理解を深め、県民が被害者にも加害者にも、そして、傍観者にもならない安心安全な命の教育の推進を期待して、質問を終わります。  以上で、本日の質問を終わりにします。  御清聴ありがとうございました。(拍手)          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 49 ◯石井邦一議長 暫時休憩をいたします。  なお、会議再開は、午後2時15分を予定いたします。                     午後2時1分休憩          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━                     午後2時16分開議 県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑(続) 50 ◯村上典男副議長 休憩前に引き続き会議を開き、県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を続行いたします。  なお、傍聴人の皆様に申し上げます。  傍聴人の拍手は禁止されておりますので、御留意願います。  八島功男議員。                 〔41番八島功男議員登壇、拍手〕 51 ◯41番八島功男議員 公明党の八島功男です。  県議会改選後初の定例会に当たり、眼前の物価高、コロナ禍、格差と差別を乗り越え、安心と活力のある新年度を展望して、日本一幸せな茨城をつくろうと決意も新たにしております。  私は、「挑戦こそ幸福の源泉、多様性と包摂性が輝く茨城の未来を開く」を主題に、茨城の新しい価値創造に挑戦をしてまいります。  大井川知事をはじめ県執行部の皆様には、価値創造のシーズは県民一人一人のたなごころの中にあることを肝に銘じて、県勢発展のため、知恵と行動を発揮していただきますようお願いを申し上げます。  初めに、格差と差別のない尊厳に満ちた人権政策の推進について伺います。  まずは、いばらきパートナーシップ宣誓制度とLGBT理解増進法制定及び同性婚の法制化についてであります。  世界人権宣言は、第1条で「全ての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である」と宣言し、日本国憲法は、第11条で「基本的人権の享有」を掲げて、「この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる」と掲げ、人権とは「人間が人間らしく生きる権利であり、生まれながらに持つ権利」であるとしました。  公明党は、党綱領において、「政治の使命は、人権の保障と拡大のためにこそある」と銘記しております。まさに、格差と差別のない尊厳に満ちた人権の実現こそ究極的な政治命題と申し上げたいと思います。  さて、いばらきパートナーシップ宣誓制度は、本県において、「誰一人取り残さない社会づくり」の視点から、多様性を認め合うダイバーシティー社会に向け、性別、人種、年齢、性格、学歴、価値観、マイノリティーなどの多様性を受け入れ、認め合うための共同参画の取組を推進するものであり、婚姻制度とは異なるものの、パートナーシップの関係にある者同士がそろって宣誓することで、県営住宅の利用申込みや県立中央病院での手術同意などに利用できるものであります。  何よりも、性的マイノリティーへの理解増進に資するものであると高く評価いたします。  このような中、元首相秘書官が発言した性的マイノリティーや同性婚への隣に住んでいるのもちょっと嫌だや、同性婚を認めたら国を捨てる人が出てくるには驚きを禁じ得ません。差別と偏見に満ちた発言であり、許し難い人権軽視であると申し上げます。  岸田首相は、発言について陳謝し、多様性を尊重し、包摂的な社会を実現するとの政府方針を説明いたしましたが、5月のG7広島サミットを前に、我が国の多様性をめぐる取組やジェンダー平等への理解度が国際的に遅れていることが懸念されます。  私は、当事者の思いが理解されず、差別され、苦しいときを過ごしてきたことに思いをはせながら、差別は許されないとの強い決意で、差別禁止法としてのLGBT理解増進法の確実な成立に期待を寄せるところであります。  さらに、同性婚の法制化については、憲法24条にある「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する」は、他者から強制されて婚姻は成立するものでないとの趣旨であって、同性婚を排除するものでないとの衆議院法制局の見解が現在も維持されていると考えるところであります。  以上のことから、県が全国に先駆けて創設したいばらきパートナーシップ宣誓制度の意義を踏まえ、差別と偏見を排除し、人権を守るためにも、あらゆる多様性を尊重するとの視点から、いばらきパートナーシップ宣誓制度の一層の支援の拡充とLGBT理解増進法制定及び同性婚の法制化について、知事の御所見を伺います。  次に、誰もが自殺に追い込まれない社会を実現する自殺防止対策について伺います。  警察庁自殺統計によると、令和4年の暫定値の自殺者数は全国で2万1,843名であり、新型コロナウイルス感染症発生前の令和元年比では1,674名増加していることから、自殺原因にコロナ禍の影響があると考えられます。  男女別では、男性と比べ、女性の自殺者数の増加が特筆されます。  また、コロナ禍にあって、年齢別で見れば、20歳代以下の若者が増加傾向にあります。  本県において、令和4年の自殺者数は489名と、令和元年と比較して31名増加しており、全国同様の傾向性が見られます。  自殺の原因は、健康問題や家族問題、経済・生活問題が上位を占めますが、その多くは複合的であり、単純な理由だけではありません。  実態を検証すれば、多くは追い込まれた末の死であり、ゆえに、自殺は、人が自ら命を絶つ瞬間的な行為としてではなく、人が命を絶たざるを得ない状況に追い込まれるプロセスとして捉える必要があります。  また、背景には、精神保健上の問題だけではなく、数々の社会的要因があることは明白です。  そして、決して特別な人たちの問題ではありません。  また、研究によれば、自殺に至る、自殺に追い込まれるプロセス(危険経路)には一定の規則性があることから、自殺は社会の努力で避けることのできる死であることは間違いありません。  自殺のリスクは、生きることへの阻害要因が生きることへの促進要因を上回ったときです。その意味で、どんなに阻害要因が多くとも、それを上回る促進要因があれば自殺のリスクは高まりません。  また、若者は死にたいのではなく、生きていたくないとして、手段として自殺を考えることもあります。それゆえ、いかなる場合も自殺しようとする人に寄り添い、生きることを励ます存在が必要だと考えます。  本県では、「いばらきこころのホットライン」をはじめSNS相談や女性専用オンライン相談を、昨年来、開始しました。自殺ハイリスク者への伴走型支援にも期待がかかります。  ついては、誰もが自殺に追い込まれない社会を実現する自殺防止対策について、福祉部長の御所見を伺います。  次に、茨城県「子どものための幸福度指標」の新たな策定について伺います。  第2次茨城県総合計画「新しい茨城」への挑戦で特筆されるのは、幸せについて、いばらき幸福度指標により見える化し、政策の方向性を把握・検討することで、県民幸福度No.1の実現に挑戦しようとしたことが出色だと改めて評価をいたします。  いばらき幸福度指標の各指標で、子どもの幸福度に係る指標は、主に新しい人財育成と新しい夢・希望に配置されているようであります。  これらの指標は、主に公的な統計と民間調査の定量的な指標を採用していることから、全国順位が分かりやすいものになっていると考えます。これは、いばらき幸福度指標が、全国における本県の位置をはかろうとするものである以上、やむを得ません。  これを踏まえて、私は、子どものための幸福度指標は、定量的な指標とともに、計数による順位が分からなくとも、定性的な項目を5段階評価するなどして、レーダーチャート化することを求めたいと思います。
     比較ではない現状認識と課題抽出の評価体系をもって、県として、子どもたちに夢と希望ある未来を約束をすることが、本県の発展の出発点となると考えます。  それでは、どのような指標が考えられるのでしょうか。  まず、時代背景が重要であります。  本年4月1日、こども基本法が施行され、こども家庭庁が新設されます。  こども基本法は、1989年に国連で採択された子どもの権利条約に対する国内法と位置づけられ、これまではっきりと明言されなかった子どものための法律であります。  そして、こども基本法には、1)個人として尊重され差別されない、2)適切に養育され成長できる、3)意見を表明し参画できる、4)最善の利益が優先されるなどの基本理念が明記されています。子どものための幸福度指標の考え方の基本をここに置きたいと思います。  それでは、子どものための幸福度指標の構成要素とは何でありましょうか。例えて申し上げたいと思います。  第1には、家族です。家族のカタチは多様です。親子も夫婦も兄弟も、時にペットも家族です。そして、家族のカタチは変容します。パートナーという場合もあります。家族で食卓を囲む回数も大事です。家庭内で暴力があってはいけません。互いに人格を認め合う絆のある家族のカタチを構成要素としたいと考えます。  第2には、ジェンダーです。ダボス会議では、毎年公表するジェンダーギャップ指数の項目は、子どもたちの未来のための指針だと考えます。多様性の縮図がここにあります。  第3には、学校です。子どもたちの成長に資する最大の環境こそ学校です。よき先生に出会い、自ら自分らしく学ぶことが幸福の源泉であるからであります。  第4には、友達です。子どもたちにとって一番大切な存在は友達です。これからの人生を共に駆け上がる友情が明るい社会を開きます。  第5には、仕事です。働き方が変わります。自己実現と社会貢献の基本は仕事であります。  第6には、世界です。これからは世界市民としての活躍が望まれます。  なお、これらは、教育社会学で著名な本田由紀教授の著作から参考にさせていただきましたことを申し添えておきたいと思います。  私の考える茨城県「子どものための幸福度指標」は、本県の今の立ち位置を明確にし、何を目指していくかを指し示すものです。こども基本法の考え方を十分に反映させて、ぜひとも茨城県総合計画と同様に、子どもたちをフォーカスした、子どもたちの理解と納得の指標作成に取り組んでいただきたいと要望します。  何よりも、子どもたちがその成長の過程で幸せであることが重要です。子どもたちと共に、子どもたちの意見を基に、子どもたちのための政策立案と遂行が今こそ求められていると訴えたいと思います。  ついては、茨城県「子どものための幸福度指標」の新たな策定について、政策企画部長の御所見を伺います。  次に、Z世代にエモい、映える、バズり力のあるプロモーション戦略について伺います。  なぜZ世代なのでしょうか。それは、Z世代がデジタルマーケティングの主役であり、彼ら自身をターゲットにせずとも、Z世代が情報を拡散するインフルエンサーとして、今、最も注目の的であるからです。  Z世代とは、一般的に1990年代中盤から2010年頃までに生まれた世代で、年齢で言えば、現在おおむね13歳から28歳までの若者を指します。  近い将来、Z世代が社会の中心になるとき、Z世代の感性や感覚が世界や日本を席巻することは必然であるとすれば、Z世代の心をつかむマーケティングやプロモーションが、ウィズコロナ、アフターコロナの時代を制する県施策やサービスとなると言えましょう。  Z世代が注目される理由について、マーケティングアナリストの原田曜平氏は、著書で、1)老後2,000万円問題や2025年問題で平成の過度な高齢者信奉が一気に崩れたこと、2)スマホの普及、多様なアプリの利用拡大により、マスメディア一辺倒の時代から、急速に生活のデジタル化が進展したこと、3)新型コロナウイルスの影響により生活が変容したこと、4)少子化の中でZ世代の人材としての活用が必然となっていることなどを指摘しております。  私は、Z世代とは、日本社会が生んだ新しい感性と感覚であり、未来を担う人材の塊と考えます。  次に、Z世代の価値観について述べてみたいと思います。  その一つはチル(chill)です。チルとは、日本語でまったりするというニュアンスであり、マイペースで居心地よく過ごすであります。かつて有効だった危機感をあおる危機感訴求は効果がなくなったとされております。  このチルを実現したZ世代に人気の宿が土浦駅の星野リゾートBEB5土浦であります。居酒屋以上旅未満のコンセプト、DJブースやTAMARIBAという共有スペースがあり、無計画でも楽しめる人気のホテルです。チル映えの実現と言えましょう。  2つ目はミー(me)です。ミーとは、Z世代の特徴である自己承認欲求と発信欲求の高まりによる一見見えにくい過剰な自意識とされ、フェイスブックなどで「いいね」と承認されることに慣れたプチ万能意識であり、一方でもろさを合わせ持つと指摘されています。  また、Z世代の消費行動として、生まれたときからインターネットが存在していたデジタルネイティブであることや、コストパフォーマンスに代わり、時間をかけず満足感を得るタイムパフォーマンスへ、コスパからタイパへと行動変容していることが挙げられます。  実際、私も、ニュースなどの録画は早送りで視聴しておりますし、サッカーワールドカップのゴールシーンなど高揚感のあるシーンだけを見たいと思わずにはいられません。  こうしたZ世代の特徴を的確に捉え、本県の将来を担い、ブームの火つけ役となるZ世代に様々な宣伝媒体を効果的に活用しながら、戦略的プロモーションを展開することが重要であると考えます。  そこで、Z世代にエモい、映える、バズり力のあるプロモーション戦略について、営業戦略部長の御所見を伺います。  次に、成長産業への円滑な労働移動を可能とするリスキリング推進について伺います。  産官学が連携する第1回茨城県リスキリング推進協議会が開催されました。  本協議会の設置について、大井川知事は、企業人のリスキリングを推進し、成長産業・分野への円滑な労働移動を可能にすることで、本県産業の生産性の向上を実現するためとし、主な検討事項に、将来の成長産業・分野で必要となるスキルの可視化、リスキリングに意欲的な企業人を後押しする仕組みづくり、県全体でリスキリングを推進するための環境整備を挙げております。  リスキリングが注目される背景には、産業構造の変革により、2030年には450万人規模の人手余剰と不足のミスマッチが起こるとの試算もあることから、1)労働のICT化や自動化により従来の働く場がなくなる現実、2)主体的なキャリア形成が求められること、3)キャリアが停滞するミドルシニアの社員の活性化の必要性などが指摘されております。  成長分野への労働移動は、今後、避けては通れないと考えます。  そして、リスキリングは、デジタル人材の不足以外にも、企業が抱える経営課題を解決に導き、構造的な賃金上昇に資することが期待されるからであります。  知事は、変化の時代の課題は人材のマッチングであると述べ、労働生産性や付加価値の高い分野への労働力シフトの鍵がリスキリングであるとして、県として、公的なリスキリングや再就職サポートを実行して本県のリスキリングの機運を盛り上げたいとしました。  コロナ禍は、企業の経営基盤の脆弱性とデジタル化の後進性を明らかにしたと言われます。産業界は、経済産業省の推進資格を持つITコーディネータ茨城との連携協定も締結しました。今後は、中小企業がDX推進でつまずく局面において、的確な伴走型支援が必要であります。  その意味からも、知事の示した推進協議会での取組方針の具体的な政策パッケージに期待がかかります。  これらを踏まえて、本県の成長産業への円滑な労働移動を可能とするリスキリングの推進について、産業戦略部長の御所見を伺います。  次に、儲かる農業の実現のため、いばらき農業の成長産業化について、まず、需要拡大が見込まれる米粉の生産体制の整備こそ農業県茨城の明日を開くと申し上げたく、質問いたします。  コロナ禍により、主食米の需要減少は加速しました。いわゆる米離れが深刻です。  加えて、政府が3,000億円規模の補助金をつけ、主食用米から飼料用米への作付転換を進めていますが、一部の農家は、飼料用米を喜んで作付しておらず、水田活用の直接支払交付金の金額の多寡が飼料用米生産の取組推進の命脈になってまいりました。  一方で、アメリカ産やカナダ産を主力とする輸入小麦は、気候変動による不作や品質低下、ウクライナ情勢、円安などを要因に、令和4年10月の政府売渡価格は、1トン当たり7万2,530円と、令和3年10月と比較して17.3%引き上げられ、今後の安定的な確保が不透明な状況となっております。  これらを踏まえて、食料安全保障の観点からも、米粉による新たな食の需要開発こそが重要であり、米粉全般における県の政策策定が必要であると申し上げます。  米粉の特徴は、御存じのとおり、もっちりとした食感で、油の吸収率が小麦粉と比べ低く、ヘルシーであることに加え、ノングルテン・グルテンフリー食材であることから、アレルギー対応食材として消費者の関心も高まっています。  今後、多様化する食の未来に米粉の需要が高まることは間違いありません。  向かうところのお米の6次化には製粉化が必須であり、必然であると考えます。と同時に、県として、米粉の需要拡大になすべきことがあります。  1つは、米粉に適した加工適性や収量に優れた品種を開発することです。  パン用として「ミズホチカラ」、「笑みたわわ」、麺用として「ふくのこ」、「亜細亜のかおり」などがありますが、新品種の研究を含めて、米粉の用途に適した品種の生産拡大を推進していただきたいと考えます。  2つは、製粉事業者との連携強化であります。  今後の米粉の需要拡大に応じて、ニーズに合致した高品質な米粉を実需者に供給するためには、米粉の粒子が細かく、用途に応じた最適な規格に製粉できる加工設備を備えた製粉業者と産地との連携が不可欠です。  本県には、小麦の大規模な製粉工場が立地しておりますことから、国の整備事業等の活用により、米粉の製粉施設や機械の整備を支援していくことが必要です。  3つには、生産者に対する国の支援制度の積極的な周知に加え、輸出への展望を描いていただきたいということです。  水田活用の直接支払交付金の戦略作物助成について、県の積極的な関与により、生産者自らの作付面積の決定や販売先の決定を促すとともに、世界で拡大するグルテンフリー市場に向け、ノングルテン米粉第三者認証制度を活用した国外市場への輸出を見据えた産地化などの取組をお願いしたいと考えます。  以上を踏まえて、需要拡大が見込まれる米粉の生産体制の整備に向け、今後どのように取り組んでいくのか、農林水産部長の御所見を伺います。  次に、SDGsと有機農業、成長するオーガニック先進県づくりについて伺います。  持続可能な開発目標(SDGs)の実現に向け、農業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現しようとするみどりの食料システム戦略は、2050年までに目指す姿として、農林水産業のCO2ゼロエミッション化の実現や、化学農薬の使用量をリスク換算で50%低減、有機農業の取組面積の割合を25%(100万平方メートル)に拡大するなどを掲げて推進するとしています。  これらの根拠法となるみどりの食料システム法では、県と市町村が一体的に基本計画を策定し、農林漁業者を認定することで各種行政手続のワンストップ化を推進するとしていることから、県の積極的な関与が求められます。  本県では、有機農業分野で、いばらきオーガニック推進ネットワークを構築して、有機農産物の生産・消費の拡大に向けた課題解決について検討するとともに、連携する生産・実需サブネットワークでは、販路の開拓や需要に応じた生産拡大、集出荷体制の効率化への取組が期待されます。  このような中、本年1月31日に発表された第52回日本農業賞では、集団組織の部において、有機野菜を主要作物にしたJAやさと有機栽培部会が大賞を受賞されました。JAやさと有機栽培部会は、1997年に、消費者が有機農産物に関心が高いことを確信して、7名の生産者でスタートしたと伺いましたが、それに至る10年間の試行錯誤の御苦労があったとのことであり、私は敬意を表したいと思います。  有機栽培の条件は、種まき、または植付け前2年以上、化学物質に汚染されていないことを確認した畑で化成肥料、化学農薬を使用しないことが基本です。部会メンバーは、農薬を使用せず、防虫ネットや輪作による物理的、耕種的防除を実施するなどして、2001年には部会全員が有機JAS認証を取得したとのことであり、さらに、地域内の家畜由来の堆肥を調達して施用するなど、有機物を利用した土地づくりへの強いこだわりが特筆されます。  また、消費者のニーズに応えるマーケット・インの手法により、生産者と消費者が共に思いの届く、共に満足度の高い持続可能な体制が確立されております。  加えて、担い手育成のためのゆめファームやさと・朝日里山ファームの設立や取組においても先駆的な挑戦がなされています。  このような先進的なオーガニック農業への取組を全県に拡大し、SDGsの実現を目指して、農業県茨城が食の安全保障のトップランナーでありたいと考えます。  ついては、SDGsと有機農業、成長するオーガニック先進県づくりについて、農林水産部長の御所見を伺います。  次に、霞ヶ浦北浦における新しい価値創造と漁業の振興について伺います。  豊かな霞ヶ浦北浦の恵みの価値そのものであるワカサギ、シラウオ、ゴロなどのハゼ類、テナガエビ、通称川エビ、コイ、フナ、ウナギなどの水産資源を守ることは、霞ヶ浦北浦の持続可能な生態系サービスの均衡性を確保し、次世代につなぐことは私たちの使命にほかなりません。  霞ヶ浦北浦の漁獲量は、1978年の1万7,500トンをピークに、2020年には僅か670トンとピーク時の4%まで減少しました。中でも、2019年以降、ワカサギ、シラウオ、テナガエビ、ゴロのいずれも極端な不漁が続き、2022年7月21日のワカサギ漁でも、北浦では1隻当たり2から4キログラムの水揚げしかなく、ほとんどの船が出漁を諦めざるを得ない状況でありました。ワカサギの解禁以降、漁模様は過去最低でも、最も不漁の水準でありました。  これらの要因は、夏の気温上昇で暑さに弱いワカサギが減耗したことであり、加えて、アメリカナマズなどによる食害であると指摘されております。また、湖底近くに生息するテナガエビやゴロの減少は、河川からの汚濁が原因ではないかという意見もあるようであります。  一方で、シラウオが全国順位1位、2位を争う漁獲量であることから、霞ヶ浦北浦における漁業のトップブランドになる可能性に期待が高まります。  以上を踏まえて、県においては、第1に、資源管理型漁業を推進するための資源モニタリングによる人工ふ化に取り組んでいただきたい。第2に、アメリカナマズなどの食害による被害を軽減するための駆除活動に対する財政的な支援をすることをお願いしたい。第3には、漁場環境保全のための水生植物帯の新設及び機能保全のための取組をこれまで以上に推進していただきたい。第4には、霞ヶ浦北浦の水質環境を悪化させる汚濁要因を多面的に軽減する対策を講じていただきたい。第5には、シラウオなどの品質保持技術を支援し、ブランド化を推進していただきたいと考えます。  これらを踏まえて、霞ヶ浦北浦における新しい価値創造と漁業の振興について、農林水産部長の御所見を伺います。  以上で、質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 52 ◯村上典男副議長 八島功男議員の質問、質疑に対する答弁を求めます。  大井川知事。                   〔大井川和彦知事登壇〕 53 ◯大井川和彦知事 八島功男議員の御質問にお答えいたします。  格差と差別のない尊厳に満ちた人権政策の推進についてお尋ねをいただきました。  いばらきパートナーシップ宣誓制度とLGBT理解増進法制定及び同性婚の法制化についてでございます。  私は、多様な人材が活躍できるダイバーシティー社会の実現に向けては、性的マイノリティーの方も含め、人権を尊重し、多様性やお互いの文化などの違いを認め合う姿勢・寛容性こそが重要であると認識しております。  本来であれば、国が全国統一の仕組みを設ける必要があると考えておりますが、国レベルの取組が進まなかったため、私は、2019年7月に他の都道府県に先駆けてパートナーシップ宣誓制度を導入いたしました。  宣誓された方々からは、「宣誓を契機として前向きに生きていける」などの感想をいただくなど、生きづらさの解消や、自己肯定感を得られる環境が醸成できたものと考えております。  現在、12都府県を含む全国250を超える自治体で制度の導入が進み、人口カバー率も67.5%と、全人口の3分の2を超える状況にあります。  しかしながら、宣誓された方が他の自治体に転居された際は、改めて転居先で宣誓を行う必要があるため、第三者によるアウティングを誘発するなど、当事者の精神的負担は非常に大きいと伺っております。  このため、昨年7月の全国知事会議において、私から、他の自治体に転居しても相互に宣誓を有効とする自治体間連携について提案をし、翌8月には、都道府県間では全国初となるパートナーシップ宣誓制度に係る佐賀県との連携協定を実現いたしました。  この連携を皮切りに、都道府県間では、昨年12月には本県と栃木及び群馬との北関東3県が、さらに本年1月には本県と三重県が協定締結に至ったほか、福岡県と佐賀県も同様の連携に踏み出したところであります。  今後も、自治体間連携を加速し、宣誓された方の負担軽減や利便性の向上はもとより、多様性を認め合うダイバーシティー社会の実現に向けて取り組んでまいります。  一方、自治体間連携を進める中、その取組にもおのずと限界もありますことから、関係法整備も含め、国レベルでの環境整備が不可欠との思いを強くしております。  このため、先月20日には、私と志を同じくする知事23名により、政府の取組を後押しするため、多様性への理解促進と、誰もが安心して暮らし、活躍できる社会づくりを求める緊急共同声明を発表いたしました。  関係法整備に係る直近のOECD調査によれば、我が国は、加盟35か国中34位と評価され、また、G7で、唯一、性的マイノリティーに対する差別禁止規定がないなど、我が国の関係法整備の遅れは国際社会で際立っております。  現在、政府や国会において、性的マイノリティーの方々に対する理解増進のための法律の制定に向けた動きが活発化しております。  私としては、性的マイノリティーの方々も活躍できる、多様性のある社会の実現に向けて、早期に、差別禁止、さらには同性婚の法制化を図るべきと考えており、国会における議論の深まりを強く期待しております。 54 ◯村上典男副議長 次に、飯塚福祉部長。                    〔飯塚福祉部長登壇〕 55 ◯飯塚福祉部長 誰もが自殺に追い込まれない社会を実現する自殺防止対策についてお答えいたします。  全国の自殺者数は、2010年から10年連続で減少したものの、コロナ禍を契機に、2020年からは増加に転じ、コロナ禍前の2019年と昨年を比較いたしますと、8.3%増の約2万2,000人となっております。  本県も全国と同様の傾向にあり、2019年と昨年の比較では、若い世代や女性の増加が影響して、6.8%増の489人となり、自殺防止対策は喫緊の課題であります。
     自殺に至る方の多くは、仕事や家庭、健康面など多くの悩みを抱えておりますので、早い段階で客観的・専門的な立場から傾聴し、自殺ではなく、生きる道を選べるようにすることが大変重要であります。  このため、県では、コロナ禍で増加する様々な心の悩みに対応するため、特に、女性や若者の自殺増加を踏まえ、ICTを活用した多様な相談窓口を設置し、多くの方がアクセスしやすい体制の整備を図っております。  具体的には、従来の電話相談「いばらきこころのホットライン」に加え、今年度から新たにSNSを活用した夜間の相談窓口を開設し、本年1月までに1,300件を超える相談に対応しておりますほか、6月からは女性専用オンライン相談を開始し、女性の専門相談員が夫婦関係や職場の人間関係などの悩みに丁寧に対応しております。  これらの相談窓口については、今年度から、インターネットの検索サイトで自殺に関する用語を検索した場合に、自動で相談窓口を案内する検索連動型広告を導入いたしました。  その結果、1月までの広告のアクセス件数は約2万5,000回に上り、その約3割の方が「こころのホットライン」やSNS相談、女性専用オンラインなどの専門の相談窓口へと案内されております。  一方で、自殺の未然防止に向けては、自殺者の約2割を占める自殺未遂者などの自殺ハイリスク者への対応が重要となります。  このため、昨年6月に、相談対応にとどまらず、困難な問題を抱える自殺ハイリスク者に対し、精神保健福祉士や公認心理士等の専門家集団が伴走してその解決を支援する「よりそい相談支援チーム」を設置いたしました。  よりそい相談支援チームでは、過去に何度も自殺未遂を繰り返すなど強く自殺が危惧される方を、市町村、警察及び病院などの関係機関から情報提供を受け、専門家によるカウンセリングや関係機関への同行などを通じて、自殺原因となる個別課題の解消を図る伴走型支援を実施しております。これまで、25人の方に対する伴走支援を実施して、自殺原因の解消を図り、本人や家族の方から感謝の声をいただいております。  このため、来年度は、よりそい相談支援チームの取組をより強化するとともに、社会からの孤独・孤立が自殺へとつながる危険性が非常に高いため、地域とつながり、他者と交流できる居場所づくりにも取り組んでまいります。  県といたしましては、市町村や自殺対策に関わる関係団体と密接に連携しながら、日本一自殺死亡率の低い県の実現を目指し、自殺対策の強化に努めてまいります。 56 ◯村上典男副議長 次に、北村政策企画部長。                   〔北村政策企画部長登壇〕 57 ◯北村政策企画部長 茨城県「子どものための幸福度指標」の新たな策定についてお答えいたします。  いばらき幸福度指標は、県民一人一人が幸せを実現できる環境の整備・充実状況を客観的なデータに基づき定量的に把握し、これまでの政策の成果や課題を明確化することで、行政機関である県の取るべき大きな方向性を検討するために導入いたしました。  このため、県総合計画に掲げる4つのチャレンジごとに特色となるキーワードをバランスよく配置し、関連する指標を選定するなど、特定の分野に偏ることなく、県全体を広く把握する指標となっております。  このような考え方の下、昨年3月の導入時における計38指標のうち、子どもの幸福に関連する指標として、子どもが主体的に挑戦し続ける姿勢をはかる子どものチャレンジ率や、児童生徒の基礎学力をはかる学力、さらに、若者に魅力ある雇用の充実状況をはかる本社機能流出・流入数などの指標を選定したところでございます。  さらに、いばらき幸福度指標につきましては、今後の社会情勢や幸福に関する研究成果などを踏まえ、不断の見直しを行うこととしております。  このため、昨年12月には、長引くコロナ禍や世界的な物価高騰などにより社会経済格差が拡大していることから、貧困などの理由により、支援を必要とする県民の状況を把握する指標として、相対的貧困率や不登校児童生徒率を追加したところでございます。これは、全ての子どもたちが幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指す国の動きにも沿うものであると考えております。  さらに、議員御提案の子どものための幸福度指標のジェンダーや学校、仕事、世界といった構成要素につきましては、現在のいばらき幸福度指標の多様性や教育振興、若者に魅力ある雇用分野の各指標がその要素を捉えているものと考えております。  一方、県総合計画の基本理念に掲げる「活力があり、県民が日本一幸せな県」の実現のため、県の取るべき大きな方向性を把握するいばらき幸福度指標のほか、政策・施策の目指すべき水準を示す主要指標を設定し、その達成に向けて効果検証を適宜実施しながら、様々な施策に取り組んでいるところです。  次世代を担う子どもたちが将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現に向けて、子ども政策の充実に取り組むことは重要であると考えております。  このため、子どもの幸福につながる政策・施策につきましては、中高一貫教育校の設置等による魅力ある教育環境の整備や、成長分野の本社機能移転等による魅力ある働く場づくりなど、子どもたちが未来に希望を持つことができ、自身のかなえたい夢に向かって挑戦を続けられる施策を推進しているところでございます。  県といたしましては、いばらき幸福度指標を活用し、県全体の大きな方向性をチャレンジごとに確認しながら、政策・施策にしっかりと取り組むことで、総合計画の推進を図ることとしているところであり、議員御提案の茨城県「子どものための幸福度指標」の策定につきましては、まずは関係部局と研究をしてまいります。 58 ◯村上典男副議長 次に、高崎営業戦略部長。                   〔高崎営業戦略部長登壇〕 59 ◯高崎営業戦略部長 Z世代にエモい、映える、バズり力あるプロモーション戦略についてお答えいたします。  県のプロモーションにつきましては、世代により、興味や関心、情報を入手するツールなどが異なることから、それらの特性を踏まえて、効果的な情報発信を戦略的に行っているところでございます。  現在、中学生から20代後半ぐらいまでのいわゆるZ世代を含む若年層に対しましては、これまでも、SNSやいばキラTVなど、主にインターネットを活用した情報発信に力を入れてまいりました。  SNSにつきましては、幅広い世代になじみのあるツイッターやラインなどによる情報発信のほか、若い方々の利用頻度が高く、写真や動画で情報を伝えることに適したインスタグラムやティックトックなども活用しているところでございます。  また、いばキラTVをはじめ、本県の魅力発信動画の制作に当たりましても、感情を揺さぶる意味の「エモい」や、写真や映像が際立って見える「映える」、短期間で爆発的に話題が広がる「バズる」など、常に若年層の共感を得ることを意識し、同世代のクリエイターを起用するなど、創意工夫をしながら進めております。  例えば、ティックトックを活用した取組では、人気クリエイターが、つくば霞ヶ浦りんりんロードでのサイクリングをテーマに、独自の視点や感性、撮影手法を生かした映える動画を制作し、約660万の再生回数を数えるなど、多くの反響を得たところでございます。  議員から御紹介のありましたタイパやチルなど、最近の若者が持つ意識や行動の傾向につきましても、情報の受け手の特性の一つと受け止め、情報発信の参考にしております。  例えば、切り抜き動画などと呼ばれる通常の長さの動画の印象的なシーンのみを切り出したものや、伝えたいことの要点を短時間に詰め込んだ動画を制作し、ティックトックなどで発信しております。  また、県公認Vtuberの茨ひよりや、いばらき大使でウェザーニュースのニュースキャスターの檜山沙耶さんのライブ配信など、ファンや仲間との同じ時間、空間を共有する試みを行っているところでございます。  さらに、最近の若者は、インスタグラムの映える写真や動画を参考にして旅行の行き先やレストランなどを決める傾向もあります。営業戦略部の職員が、観光情報等を旬な時期に、より美しく見せられるよう取り組んでいるところでございます。  また、SNS上では、共感を得られる情報が信頼され、行動の変化につながると言われておりますことから、東京のアンテナショップ、イバラキセンスにおいて、比較的フォロワー数が少ないがゆえにユーザーとの距離感が近いマイクロインフルエンサーを集めたアンコウ鍋の試食撮影会など、共感を呼ぶ情報発信を行ったところでございます。  県といたしましては、このような新たな取組なども進めることにより、議員御案内のZ世代を含め、全世代に必要な情報が伝わるよう、各世代の特徴を考慮しながら、戦略的にプロモーションを進めてまいります。 60 ◯村上典男副議長 次に、榊原産業戦略部長。                   〔榊原産業戦略部長登壇〕 61 ◯榊原産業戦略部長 成長産業への円滑な労働移動を可能とするリスキリング推進についてお答えいたします。  かつて世界トップレベルにあった我が国の国民1人当たりのGDP・国内総生産については、2021年で見ますと、OECD加盟国38か国中20位へと、その地位が大きく後退し、賃金の伸びも主要先進国の中で最低の水準で推移している状況にございます。  一方、今後を展望しますと、国が実施した将来の労働需要予測では、デジタル化や脱炭素化の進展による産業構造の急速な変革により、職種別に大幅な需給ギャップが生じるとの推計が示されております。  そうした状況に対応し、本県産業がさらなる発展を遂げていくためには、今後の成長産業や企業の成長部門などで必要とされるスキルの習得・向上を図るリスキリングを推進し、円滑な労働移動を可能としていくことが必要不可欠でございます。  また、そうした動きを加速させることで、社会全体の生産性の向上を図り、賃金水準の引上げを実現していくことが重要であると認識しております。  このため、先般、産学官から成る茨城県リスキリング推進協議会を設置し、三者が連携して、県全体でリスキリング施策の立案・推進に取り組むための枠組みを立ち上げたところでございます。  また、当協議会の下には、各機関の実務者レベルから成る幹事会を置き、具体的で実効性のある施策について議論していくとともに、IT人材ワーキング会議を設置し、今後の成長産業・成長分野において必須のスキルと想定されるデジタルスキルについて、集中的に検討を進めていくことといたしました。  なお、本年1月に開催しました協議会では、産業界のニーズを踏まえたリスキリング講座の必要性や、企業人のキャリアに応じた講座の提供などについて活発な意見が出されております。  そうした議論を踏まえまして、県認定講座の設置や企業人のキャリアに応じたリスキリング講座を推奨する仕組みの構築などについて検討を進めますほか、リスキリングに係る情報を一元的に発信しまして、県全体でリスキリングを推進する機運の醸成を図るウェブサイトの開設を進めてまいります。  加えて、企業人がリスキリングに主体的に取り組むためには、スキル習得後の処遇改善につながる人事評価制度の導入など、企業側の取組も大変重要であると考えております。  そのため、企業経営者や人事担当者が、リスキリングの重要性について理解を深めるためのワークショップの開催のほか、先進的な取組を行っている企業を顕彰する仕組みも構築してまいります。  今後、順次、これらの取組を推進するとともに、本年10月には、産学官が連携し、県全体で取り組むリスキリング施策を包括的に取りまとめた政策パッケージを公表する予定としてございます。  県といたしましては、協議会を推進母体に、産学官それぞれが役割分担をして、リスキリングに主体的に取り組む企業や企業人をしっかりとフォローアップし、生産性の向上や成長産業・成長分野への円滑な労働移動が可能となるよう、本県産業界のリスキリングを推進してまいります。 62 ◯村上典男副議長 次に、上野農林水産部長。                   〔上野農林水産部長登壇〕 63 ◯上野農林水産部長 いばらき農業の成長産業化についてお答えいたします。  まず、需要拡大が見込まれる米粉の生産体制の整備についてでございます。  国民1人当たりの米の年間消費量は、1960年には100キログラムを超えておりましたが、食生活の多様化などにより、その後、減少が続き、2020年には51キログラムと半減している状況です。  また、国内消費量の大半を輸入に頼る小麦は、国際的な情勢変化などの影響を受けやすく、2022年4月期の取引価格は、昨年の同時期と比較し、約40%上昇しております。  このような状況を受け、近年、実需者からは、安定的な確保が不透明な小麦や小麦粉に代わる原料として、米粉への期待や関心が高まっているところです。  国においては、パン用や麺用といった用途別の米粉の使い方や、アレルギーの原因物質であるグルテンを含まないグルテンフリーという特徴などについて積極的に発信していることもあり、近年、米粉の需要量は着実に増加しており、今後もさらなる拡大が見込まれております。  県におきましても、需要が旺盛な米粉の生産拡大を図るため、ソフト及びハードの両面から支援を行っているところです。  まず、ソフト面では、水田活用の直接支払交付金の活用により、主食用米から、麦や大豆のほか、輸出用米や米粉用米などへの転換を促してきた結果、県内における米粉用米の作付面積は、2019年の17ヘクタールから、2022年には59ヘクタールとなり、この4年間で3倍以上に拡大しました。  また、ハード面では、6次産業化に取り組む意欲的な農業者に対し、国の補助事業を活用し、パンや麺といった用途別の製粉が可能な製粉機の導入や、米粉を使用した加工品の開発などを支援してまいりました。  しかしながら、現在、本県において、米粉の原料として多く利用されているコシヒカリなどの主食用の品種では、米粉としての品質が優れない上、面積当たりの収量も限られていることから、農業者の所得向上に向けては、収量が多く、製粉適性に優れた品種の作付拡大が不可欠となります。  このため、県では、実需者ニーズが高く、パンの膨らみがよいなど、製粉適性に優れた品種「笑みたわわ」の実証試験などを通じて、生産現場への導入を推進し、また、市町村やJAなどと連携し、農業者に対して、専用品種の特性を広く周知するとともに、普及員による技術支援の体制を整えるなど、さらなる作付拡大を図ってまいります。  また、県内では、産地が製粉業者や製パン業者と連携した上で、米粉に適した品種の生産拡大に取り組むような事例も生まれてきております。  このため、県では、こうした米粉の生産拡大と需要創造に一体的に取り組む県内産地に対して、国の補助事業などを活用し、製粉機の整備などを支援してまいります。  さらに、輸出につきましては、欧米を中心に拡大するグルテンフリー市場に向け、関係部局と連携し、米粉の輸出に取り組む意欲的な農業者に対し、商談会の機会を設けるなど、販路拡大に向けた取組を進めてまいります。  県といたしましては、生産者と実需者が連携した需要と生産の拡大など、魅力ある米粉の産地づくりを推進することにより、儲かる農業の実現に取り組んでまいります。  次に、SDGsと有機農業、成長するオーガニック先進県づくりについてでございます。  化学的に合成された肥料や農薬を使用しない有機農業は、環境負荷軽減に資する農業として、持続可能な社会の実現を目指すSDGsを達成する上で大変重要な取組であると認識しております。  また、その生産物は、付加価値の高い有機農産物として、通常の農産物よりも高値で取引されることから、県では、儲かる農業を実践する取組の一つとして、有機農業の推進に取り組んでおり、国が、みどりの食料システム戦略の中で有機農業の取組拡大に関する目標を掲げる以前から、県独自の施策を講じてきたところです。  具体的には、2019年にいばらきオーガニックステップアップ事業を創設し、農地が狭隘でスケールメリットを生かした営農が困難な県北地域を対象として、モデル団地の創出などを進めてまいりました。  その結果、常陸大宮市において、地域外から3つの法人が有機農業で参入するとともに、その動きに触発されるように、地元の法人もその取組を開始するなど、県内はもとより、県外からも注目されるモデル団地が新たに形成されたところです。  また、昨年の6月補正予算では、国際情勢の変化等により、今般の肥料価格等が高騰する状況を有機農業の推進を図る大きな機会として捉え、従来型の農業から有機農業への転換を県内全域で推進するため、機械・資材の導入や有機JAS認証の取得等を支援するいばらきオーガニック生産拡大加速化事業を創設し、取組を進めてまいりました。  その結果、県内全域においてこれらの事業が広く活用されたことにより、今後、有機JAS認証取得面積の大幅な拡大が見込まれるなど、施策の効果が着実に現れてきております。  さらに、議員御案内のとおり、今般、有機農業の普及と担い手の育成に長年取り組んでこられたJAやさと有機栽培部会が、これまでの取組を高く評価され、日本農業賞の大賞を受賞されるなど、県内において全国を代表する優良事例が育ってきております。  こうした動きをさらに加速させるため、2023年度当初予算として、有機農業の支援策をパッケージ化した有機農業推進関連事業の予算を本定例会において提案させていただいたところです。  本事業では、常陸大宮市やJAやさとなどの先進事例を追随するような新たな産地づくりへの支援をはじめ、有機農産物の供給能力の向上につながる機械の導入や、有機JAS認証の取得等を支援するほか、有機農業分野の生産者・実需者等で構成するネットワークを通じた生産と販売のマッチングや、有機農業推進の旗振り役となる指導員の育成、さらには、堆肥等を実証的に活用する土づくりの取組等を支援してまいります。  県といたしましては、こうした一連の支援を通じ、各地で芽が出始めた有機農業の取組を力強く後押しし、成長させることにより、SDGsの実現とオーガニック先進県としての地位の確立に向け、しっかりと取り組んでまいります。  次に、霞ヶ浦北浦における新しい価値創造と漁業の振興についてお答えいたします。  霞ヶ浦北浦は、ワカサギ、シラウオ、テナガエビなど全国トップクラスの漁獲量を誇る豊富な水産資源に恵まれ、それらの水産資源を活用した漁業や水産加工業が盛んに営まれております。  これまで、県では、水産業の振興に向け、漁業者が行う資源管理の取組への支援のほか、ワカサギの人工採卵やふ化放流など種苗生産の技術指導、魚介類の産卵や稚魚の育成の場となる水生植物帯の造成といった取組を進めてきたところです。  しかしながら、近年、世界的な温暖化に伴う湖の水温上昇により、高水温に弱いワカサギの漁獲量が減少傾向にあると考えられていることから、これまでの施策に加え、新たな視点での施策を実施する必要があると考えております。  そのため、議員御指摘のとおり、近年、シラウオについては、全国1位、2位を争う漁獲量となっている強みを生かす取組や、漁獲されても売り物にならず処分されているハクレンなどの未利用魚の活用などに着目した取組について、新たな施策として展開することとし、今定例会に新規予算案を提案させていただきました。  まず、霞ケ浦北浦産シラウオトップブランド化事業として、県が開発した新たな品質保持技術の漁業者などへの普及促進や、生産体制の構築の支援、市場調査や成分分析に基づく商品規格の設定などに取り組み、高品質化を図ることにより、全国トップクラスの高価格シラウオの創出を目指してまいります。  次に、未利用魚有効活用促進事業として、ハクレンなどの未利用魚を原料として魚粉を試作し、たんぱく質や脂質などの成分分析により、その特性を把握するとともに、飼料・肥料としての有効活用に向けた需要調査、生産現場での実証試験などを実施してまいります。  これにより、世界的に価格が高騰している飼料や肥料原料の代替として、農業分野での活用も視野に入れ進めていくことで、霞ヶ浦北浦における資源の有効活用と、新たな漁業収益の創出による漁業経営の安定化を図ってまいりたいと考えております。  また、持続的な漁業を営んでいく上では、水産資源の維持及び漁場環境の保全が不可欠となっております。  このため、ワカサギ資源の維持・増大に向けた取組と併せて、漁業者によるアメリカナマズなどの駆除に対する支援を行うことにより、ワカサギなどへの食害を防止するとともに、魚体に含まれる窒素やリンを湖から除去することにより、水質の浄化を図ってまいります。  また、水生植物帯の造成については、不漁が深刻な北浦に重点化し、より長期にわたって生育環境が保持されるよう、構造の改善などを進めるとともに、既存の水生植物帯に対しても、機能保全対策に取り組んでまいります。  県といたしましては、水産資源の維持と漁業環境の保全に一層取り組むとともに、新たな漁業収益の創出などにより、霞ヶ浦北浦における新しい価値創造と漁業の振興を図ってまいります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 64 ◯村上典男副議長 暫時休憩をいたします。  なお、会議再開は、午後3時30分といたします。                     午後3時16分休憩          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━                     午後3時30分開議 県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑(続) 65 ◯石井邦一議長 休憩前に引き続き会議を開き、県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を続行いたします。
     なお、傍聴人の皆様に申し上げます。  傍聴人の拍手は禁止されておりますので、御留意願います。  江尻加那議員。                 〔24番江尻加那議員登壇、拍手〕 66 ◯24番江尻加那議員 日本共産党の江尻加那です。  日々、寄せられる要望や現場の実態、その切実さを受けて、知事及び教育長に質問いたします。県民の実感に応える答弁をお願いいたします。  初めに、新年度予算と知事の政治姿勢について伺います。  知事は、所信表明で、第二次世界大戦の反省から、悲惨な戦争を二度と起こすまいと誓った国際社会において、私たちは重大な岐路に立たされていると述べました。まさに政府の動きを見れば、日本も戦争か平和かの岐路に立たされているように感じます。  戦後77年を経て、岸田政権は、新しい戦前に向かうかのように、防衛費を年間11兆円へ倍増、世界第3位の軍事費に膨張させようとしています。軍備の拡大で、対立や緊張を高めるのではなく、戦争の心配のないアジアにしていく外交において、日本政府の役割は重要です。  ところが、今月2日の国会で、約300の自衛隊基地を生物化学兵器、核兵器に耐えるようにする強靱化計画の大規模な発注案が防衛省からゼネコンに提示されていたことが分かりました。  300の中には、本県の勝田、土浦、霞ヶ浦、古河、4か所の駐屯地と百里基地がリスト化され、司令部の地下化など、計画がされています。  防衛大臣は、敵基地攻撃すれば、日本も報復攻撃で大規模な被害が生ずる可能性があるとして、標的になると認めました。  では、基地周辺の住民はどうなるのでしょうか。原子力施設も多数ある本県では、県土全体に影響が及ぶのではないでしょうか。  そして、百里基地での共同訓練も強化され、これまでのアメリカ軍に加えて、新たにオーストラリアやインド、ドイツ、昨日はカナダ、次はフランスとも聞き及んでいます。  そして、昨年、小美玉市長は、夜間・昼夜連続飛行訓練に当たり、夜10時以降はやめるよう要請しましたが、守られませんでした。基地内に宿泊できない兵士が、石岡や水戸のホテルに宿泊し、市長も住民もこれが常態化するのではないかと不安や危機感を募らせています。  政府に対して、戦争を二度と起こさせないための外交を重視すべきと表明すべきではないでしょうか。  そこで、本県自衛隊基地の強靱化に対する所見と訓練強化への対応について知事に伺います。  次に、実効性ある賃上げと男女の賃金格差是正に向けた取組について伺います。  本県の予算案で明らかになったのは、県内企業の法人税が12.4%の大幅増の一方で、県民が納める県民税は1.7%しか伸びていない実態です。2年連続、同じ傾向ですが、知事は、その原因をどのようにお考えでしょうか。  本県輸出関連の製造業の収益が増えても、取引する中小企業の下請け単価が上がらない、賃金に還元されていないのではないでしょうか。そして、企業が稼いだお金をどれくらい社員に分配しているか、その本県の労働分配率は全国28位です。  知事は、経営者側に賃上げを要請してはいますが、特に、中小企業や非正規雇用、そして、ケア労働に至るまで、実効性ある賃上げ対策が必要ではないでしょうか。お答えください。  そして、公務労働も同様です。現在、県庁の知事部局の職員定数は約5,600人に対して、実際の採用は約5,000人にとどまり、600人も少ない状態です。代わって2,000人を超える会計年度任用職員を期限付低賃金で雇用し、その中には正職員と同様の職務をしている職員もいます。業務を精査して、正職員の採用を増やすべきではないでしょうか。お答えください。  また、昨年の10月、最低賃金が引き上げられた際、県内4つの自治体で会計年度任用職員の時間給が最低賃金を下回り、県の助言により改善されました。新年度においても、県及び市町村で給与の引上げなど、処遇改善がどうしても必要と考えますが、所見を伺います。  そしてさらに、男女間の給与格差について、女性活躍推進法に基づき、今度は県や市町村も公表が義務化されました。知事は、いつまでに、どのような形で公表するのか、そして、現れる格差をどう是正していくのか、伺います。  賃金が上がらない、先進国で男女の格差が最悪という日本で、少子化が改善されるとは思えません。  こうした中で、次に、子育て・教育にかかる経済的負担の軽減を求めて質問します。  結婚支援や妊娠・出産時の支援だけでなく、その後の子育てにかかる費用の軽減、特に、世界で一番高い日本の学費を本気で軽減・無償化することです。  しかし、県独自の新規事業や拡充策が予算案にありません。例えば、子ども医療費助成制度も、知事就任直後の5年前に拡大したきりで、外来費への補助はいまだ小学6年生までのままです。市町村の上乗せで、県内全てで入院も外来も高校3年生まで補助が広がった今、県として、所得制限も自己負担もない完全無料化に踏み切るときです。  さらに、小中学校の学校給食費が水戸市や日立市など県内でも広がります。  そこで、県立特別支援学校や県立学校の小中学生を含めて、県として、給食費の無償化、市町村への半額補助などの予算を求めます。  そして、学費です。知事が大学に入学した当時、40年前、国立大学の授業料は幾らだったか。年間21万6,000円、それが今や2.5倍の53万5,800円です。私立大はさらに高額です。しかし、親の給料が追いついていません。  仕送りがない学生は、アルバイトでアパートを借り、食事や生活をしながら授業料を払って勉強できる、そんな限度は超えています。  こうした現状から、18歳で成人となった高校生に学生ローンを勧誘する姿も見られるようになったと聞きます。その行き着く先は多額の借金を抱えた若者です。  茨城県立医療大学の授業料も同じく年間53万5,800円、県の減免制度は、住民税非課税世帯やそれに準ずる世帯しか対象にならず、学生の1割に及びません。そこで、東京都が年収910万円未満まで都立大学の減免を拡大するように、本県でも対象を広げていただきたいと思います。  あわせて、今まさに奨学金を返済している若者への支援です。  他県では、地元中小企業の人材確保と結びつけ、県補助など様々な取組が広がっています。本県でも、奨学金返還支援の実施に向けて早期に具体化していただきたいと思います。  そこで、これらの取組について、併せて知事の所見を伺います。  次に、酪農・畜産の飼料高騰対策についてです。  安心安全な国産牛乳を生産する会が行った酪農家へのアンケートでは、全ての酪農家が赤字で、27%が廃業すると回答しています。  ところが、政府は、30兆円の補正予算をつけても、赤字を直接補填する予算はゼロ、それどころか、牛乳は搾るな、牛4万頭を処分せよ、1頭殺せば15万円補助すると農家を追い詰めています。  一方では、農林水産省によると、令和3年の牛乳・乳製品の海外への輸出額は過去最高で、輸出先上位は台湾、香港、ベトナムとのことです。ところが、国内では酪農の危機、このままでは牛乳まで100%自給できない日本になってしまいます。  そこで、生乳の生産量が全国第8位の本県酪農をどのように位置づけ、また、酪農家の数や乳牛飼養頭数の現状をどう見ているのか伺います。  県は、昨年9月の補正予算で、子実トウモロコシや牧草など、餌の自給拡大策を実施しましたが、新年度予算にありません。継続を求めるとともに、今はまさに緊急事態であり、直接の支援金が必要です。  そこで、県内畜産農家が安定し、展望を持って経営を継続するための県としての支援について、知事の所見を伺います。  次に、高齢者の難聴対策と外出支援・地域交通の拡充について伺います。  知事は、健康寿命日本一を掲げていますが、元気に暮らしていくためには、地域とのつながりや人とのコミュニケーションは欠かせません。そのためにも、耳が聞こえにくい、外出しづらいという日々の不便を解消していくことが切実な要望です。  介護サービスの認定時に行う聴力の調査によると、耳が聞こえにくいという方が水戸市で約6割、つくば市でも約5割に上っています。難聴でコミュニケーションが困難になると、認知症のリスクが高まると海外の研究などで指摘されています。  そこで、県として、高齢者の難聴の実態調査を行って、必要な方が補聴器を適切に利用できるよう、その購入費用に県の補助制度を創設していただきたい。  県内では、古河市に続いて、今度、城里町や筑西市が補助を決めました。この取組が全県に広がるよう、支援策を求め、知事の所見を伺います。  また、住民の移動手段である地域交通については、バス停まで歩いていくのも大変という高齢者などのために、32の市町村で乗り合いタクシーが運行されています。コミュニティーバスも含めますと、潮来市以外が何らかの地域交通を運行していますが、運行日や時間帯、ルートが合わないなど、課題は山積です。例えば、水戸市の1,000円タクシーは、地域限定のために、人口の僅か16%しかカバーできていません。こうした乗り合いタクシーに県は補助していませんが、課題解決に向けて、財政支援も含めた対策を拡充していただきたいと考えます。お答えください。  次に、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。  まずは、第8波の検証です。  昨年11月から2月末までの死亡者がこれまでで最も多い548人に上り、そのほぼ全てが高齢者です。多くの介護施設でクラスターが起きました。  感染症対策の基本は、患者の隔離、本来なら入院ですが、医療現場の逼迫回避のために、国も県も施設内での療養を求め、そのために施設に補助金を出してきました。そして、多くの高齢患者が施設内に留め置かれ、場合によっては、隔離や個室管理ができずに、カーテンで仕切っただけのカーテン隔離という状況まで生まれました。結果として感染し、病院に搬送されたときには手遅れで、夫を亡くした、そういう御遺族から訴えも寄せられました。施設側が保健所に相談した際、保健所もカーテン隔離でいいと指導したとのことです。  さらに、この施設内療養が県の見込みを大きく超えたため、県は、2月10日以降、施設からの補助金申請をいまだ受け付けられていません。今定例会に追加補正がありますが、これまでは受け付けていた基準単価を超える上乗せ部分については財源がなく、今度は認めないとしています。協力はお願いしても、補助の一部を出せないでいいのでしょうか。支給を求めます。  そこで、死亡者の多くを占める高齢者、特に、介護施設におけるクラスターや施設内療養について検証し、教訓を生かした対策をどう進めるのか、知事に所見を伺います。  そして、医療提供体制の抜本的強化も必要です。  コロナ患者の入院を受け入れてきた大規模病院では、コロナ禍で人員補充が不十分で、人手不足はこれまで以上に深刻、職員への負担が大きくなり、療養休職や退職者が増えている実態です。  さらに、第5類になることで、金銭的保障が減額となれば、経費削減は人件費削減につながり、さらなる退職者増になりかねない、そういう訴えです。  そして、本日、国立病院が加盟する全医労が一斉ストライキを構え、県内でも水戸医療センター、霞ヶ浦医療センター、茨城東病院で十分な人員確保ができなければ、患者の命を守り、職員がやりがいを持って働き続けることはできないと、大幅な人員増と賃上げを要求しています。  そこで、県として、医療機関への人的・財政的支援を含めて、提供体制の整備にどう取り組んでいくのか、知事にお考えを伺います。  次に、東海第二原発の再稼働と運転延長問題について質問します。  福島第一原子力発電所事故から間もなく12年、知事は、所信表明で、原子力行政に一言も触れませんでしたが、岸田政権は、老朽原子力発電所を含め、原子力発電所を最大限活用する方向にかじを切り、60年を超える運転まで認める考えです。  一方、東海第二原発の避難計画策定や県独自の安全性検証は進んでいません。そもそも県の行う検証作業は最長60年を念頭にしたもので、今やその前提が崩されてしまいました。  原子力規制委員会は、10年ごとに審査すると言っていますが、その評価のために必要な試験片が東海第二発電所にはもうありません。中性子の照射によって、原子力圧力容器がどのぐらいもろくなっているか、それを調べるために必要な原子炉内に設置した4つの試験片がこれまで4回の試験で全て使い切られました。  日本原子力発電は、一回使ったものを再生し、また使うとしていますが、県内の科学者・技術者グループは、信頼性に疑念があり、問題があるとして、昨年、県ワーキングチームを通じて日本原子力発電に質問書を提出していますが、回答がありません。  知事は、60年の運転期間が撤廃された上、使い回しの試験片で大丈夫だと県民が納得すると思いますか。お答えください。  また、避難計画についても問題が噴出しています。避難所1人当たりの面積をようやく県は2平米から3平米以上に見直しますが、これは通路も含めた面積で、結局、使えるスペースは1人2平米です。パブリックコメントでも、スフィア基準の3.5平米にすべきとの声や、県の検証委員会で市町村から改善を求める意見まで出されながら、なぜ反映しなかったのか、理由をお答えください。  まともな避難計画がつくれない、そんな不備があるなら、再稼働させるべきではありません。  そして、医療機関や社会福祉施設に策定を求めている避難計画も同様です。  知事は、一昨年10月の予算特別委員会で、私の質問に、30キロメートル圏内全ての施設で計画が必要としました。現在の進捗状況を伺います。  ある社会福祉法人が策定しようと、不明な点をまとめて県に出したそうです。ところが、県からは、グループホームの入居者は自宅に帰す努力をしてほしいとの回答、また、避難時にスマートインターチェンジはフリーアクセスできるのかとの問いに、道路公団判断なので、県の見解は出せないとし、避難先の施設で介護報酬は請求できるのかとの質問には、認められると推察されると確認もしていません。あまりに無責任ではないでしょうか。これではとてもつくれないと施設の避難計画は未策定です。  60年を超える政府の運転方針に71%の国民が反対と、世論調査の結果です。改めて、老朽化した東海第二原発、再稼働は認められないとの判断を知事に求めて、所見を伺います。  最後に、教育行政について質問します。  1点目は、特別支援教育のうち、必要な全ての子どもに個別の教育支援計画を活用して、不登校になる前の取組を進めようということです。  県が作成した保護者向けリーフレットには、お子さんが何に困っているかを見極め、どのような支援が必要かを、病院や療育機関、学校など、関係する機関と一緒に考えるので、一貫した支援の見通しを持つことができ、安心して進級や進学ができます。まずは御相談くださいと書いてあります。  しかし、これが作成されるのは、主に特別支援学級に在籍しているか、通級指導教室に通っている児童生徒に対象が狭められているようです。よって、多くの通常学級に在籍しながら、学習障害や発達障害のある子どもに活用が広がっていません。  ある中学生は、文字の読み書きだけが非常に困難な障害、いわゆるディスレクシアで、学校に配慮を求めていたにもかかわらず、個別の学習指導で一番苦手な作文を書かされたり、ひたすらノートに書き写す宿題が続くなどして劣等感を強め、不登校になりました。  また、ある中学生は、支援計画が作成されず、このままでは高校入試の際に合理的な配慮が認められないのではないかと心配し、悩んでいます。  文部科学省の調査では、通常学級に在籍する小中学生の8.8%に学習や行動に困難のある発達障害の可能性があるとされ、35人学級であれば3人になります。  そこで、通常学級を含めて、小中学校における教育支援計画のさらなる適切な活用を求めて、教育長の所見を伺います。  しかし、より多くの子どもたちに支援をと言うと、そこまで手が回らない、これ以上、業務を増やさないでという声が聞こえてきそうです。子どもに関わることが最も優先されなければならない教育現場で、先生が足りません。働き過ぎでゆとりが奪われています。大変だから教員が減る。減るからまた大変になる。先生を増やすしかありません。  ところが、国は、来年度、全国で約2,500人も教職員定数を減らすとしています。本県でも毎年減らし続け、その定数さえ正規の教員で確保できず、今年度、何と1,360人の欠員です。それを何とか講師の先生で補充し続けています。  また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの専門職の配置を増やすことも重要です。  教育長が常々表明する、一人一人の能力と個性に応じて、誰一人取り残さない、そのためにも教員不足への対応と専門職の拡充について、教育長の御所見を伺います。  以上で終わりますが、答弁によりましては再質問いたしますので、明快なお答えをお願いいたします。  ありがとうございました。(拍手) 67 ◯石井邦一議長 江尻加那議員の質問、質疑に対する答弁を求めます。  大井川知事。                   〔大井川和彦知事登壇〕 68 ◯大井川和彦知事 江尻加那議員の御質問にお答えいたします。  初めに、新年度予算と私の政治姿勢についてお尋ねをいただきました。  まず、自衛隊の基地強靱化・訓練強化による影響についてでございます。  今、国際社会は、ロシアによるウクライナ侵略、米中対立の激化、北朝鮮による度重なる弾道ミサイルの発射など、国際秩序の根幹を揺るがす未曽有の危機に直面しており、我が国を取り巻く安全保障環境は、より一層厳しさを増していると認識しております。  お尋ねのあった県内を含めた自衛隊基地の強靱化計画について、防衛省に確認したところ、昨年12月に閣議決定された防衛力整備計画において、全国の自衛隊基地を対象に、主要司令部の地下化や老朽化対策などの施設整備を今後5年間で集中して行うとのことでございました。  県といたしましては、計画の推進に当たっては、周辺住民への十分な説明や安全対策に万全を期すよう、国に働きかけてまいります。  次に、他国との共同訓練の回数増や規模拡大についてでございます。  昨今の情勢を踏まえ、百里基地においては、戦術技量の向上、相互理解の促進及び防衛協力のさらなる深化などを目的に、他国との共同訓練が実施されているものと承知しております。  昨年11月には、2年連続11回目となる日米共同訓練が、米軍130名程度が参加し、過去最大規模で実施されております。  また、昨年3月にオーストラリア空軍、9月に国内初となるドイツ空軍、さらに本年1月には日本初となるインド空軍との訓練が行われるなど、近年、新たな国との共同訓練が増加しております。
     一方で、こうした訓練に伴い、航空機騒音、外国部隊員による事件・事故や新型コロナウイルス感染症の感染拡大など、住民の皆様の不安の声があることも承知しております。  直近では、本年1月に行われたインド空軍との共同訓練において、地元小美玉市や百里基地周辺の5市町連絡会から、騒音対策や安全対策などを行うよう、防衛省北関東防衛局長に対して要請が行われるなど、近年、地元市などから国に対する要請が急増しております。  これまで、県は、地元に先んじて、これらの訓練に際し、防衛省職員が事前説明に来られたときなど、機会あるごとに、騒音対策や安全対策、周辺住民の不安払拭のための十分な情報提供などを行うよう、県民生活環境部長などからしっかりと申入れを行っております。  また、訓練内容について、国からできる限り詳細な情報提供を受け、速やかに県ホームページにて一元的に掲載しております。  いずれにしましても、防衛や安全保障は国の専管事項であり、国が責任を持って適切に実施する必要があると考えております。  このため、県といたしましては、今後とも、訓練の状況把握や、地元市町との情報共有に努めるとともに、必要に応じて国へ要望を行うなど、引き続き、県民の皆様の安全対策にしっかりと取り組んでまいります。  次に、実効性のある賃上げと男女賃金格差是正についてでございます。  私は、賃金上昇、消費拡大という好循環を生み出し、価格転嫁しやすい環境を整備し、企業の収益拡大をさらなる賃上げにつなげていくことが重要であると考え、あらゆる機会を捉え、企業の経営者などに対して、賃金引上げの理解と協力を求めてまいりました。  特に、今年度は、私自らが、経済団体に対し、適正な価格転嫁を行うとともに、利益率の高いビジネスを生み出し、その収益をしっかりと労働者に分配するよう、強く要請したところです。  また、最低賃金については、茨城労働局長や地方最低賃金審議会の委員に対して、本県の経済状態が最低賃金に正しく反映されるよう、粘り強く理解を求めた結果、国の最低賃金引上げの目安額に1円上乗せされ、過去最大の32円の引上げが実現いたしました。  さらに、賃上げを持続的なものにするためには、企業の成長につながる前向きな取組を後押しすることが重要です。  そのため、県では、新分野への進出などを目指す中小企業を対象とした融資制度により、事業者の主体的な挑戦を支援するとともに、より利益率の高いビジネスができるよう、新たに海外展開に挑戦する中小企業などを積極的に支援してまいります。  今後も、引き続き、私が先頭に立ち、労使双方の関係者に対する働きかけを一層強化し、さらなる賃金の引上げを目指してまいります。  次に、公務労働、特に県庁の対応についてでございます。  まず、会計年度任用職員の正規職員化についてであります。  正職員数については、職員定数条例で上限を定めておりますが、実際の人員配置に当たっては、社会情勢や行政需要に応じて、効果的・効率的な行政サービスを提供するため、適切な人員を配置しております。  また、正職員は雇用期間に定めがなく、政策の立案など高度な判断を必要とする業務を担当する一方、会計年度任用職員は、主として一般的かつ定型的な事務補助を担当し、有期雇用として年度ごとに変動する業務量に対応するために配置しており、両者は明確に役割が異なることから、現在の運用は適切なものと考えております。  なお、会計年度任用職員の給与については、週29時間勤務の一般事務で代表的な例を挙げますと、時給換算で1,134円となっており、本県の最低賃金911円を上回る額となっております。  また、昨年11月には、公民較差を是正するため、一般職員の給与を引き上げる条例改正を行いましたことから、会計年度任用職員についても、本年4月から給与を引き上げることとしております。  次に、職員給与の男女差異の公表については、女性活躍推進法に基づき、2022年度中の支給実績に係る会計年度任用職員を含む全職員における給与の男女の差異や、正職員の役職段階別、勤続年数別の給与の男女の差異を今年6月末までに公表することを予定しております。  今年度末までの支給実績に基づくものであるため、現時点では数値は算出できない状況にありますが、課長などの役職への登用の状況を踏まえますと、管理職等における男女比率の差が、給与の男女の差異を生じさせる可能性があります。  私は、このような状況を改善するためにも、積極的な女性登用が必要であると考え、自ら先頭に立って、女性職員の積極的な登用を推進しているところであり、その結果、課長級以上に占める女性の割合は、2017年4月の6.9%から、昨年4月には11.6%まで大幅に上昇するなど、着実に成果が現れております。  今後、公表する各指標が示す結果については、しっかりと分析し、給与の男女の差異が小さくなるよう、適切に対処してまいります。  次に、子育て・教育にかかる経済的負担の軽減についてでございます。  私は、子育て世帯への経済的支援は、日本の未来を支える人財への投資であるとの認識の下、全国トップ水準の妊産婦・子どもに対する医療費補助制度や、本県を含め9県のみ実施している第3子以降の3歳児未満の保育料の完全無償化など、施策の充実・強化を図っております。  小児医療費助成制度、いわゆる小児マル福制度につきましては、本県は、外来受診の対象年齢を小学校6年生までとしておりますが、昨年4月からは、市町村独自の取組により、全ての市町村において高校3年生まで拡充されております。  所得制限の撤廃につきましては、来年度中には、市町村独自の取組により、全ての市町村において所得制限が撤廃される見込みと承知しておりますが、自己負担金の撤廃につきましては、軽症にもかかわらず、安易な受診につながる可能性があることから、慎重に考えざるを得ないと考えております。  なお、本来、子どもに関する医療費助成制度は、国が責任を持って全国統一した基準で実施するべきと考えており、県では、中央要望などの機会において、継続的に要望してまいります。  次に、学校給食につきましては、大子町など4市町が給食を無償化しているほか、第3子以降の給食費の免除や半額補助などの措置を含めると、県内42市町村において独自の公費負担が実施されております。  給食に係る費用は、法の規定に基づき、学校の設置者や保護者が負担することとされておりますので、給食費の公費負担については、今後も市町村が担うべきものであると考えております。  なお、県立学校を含め、低所得世帯の児童生徒や特別支援学校に在籍する児童生徒に対しては、国の制度などにより、公費負担による支援制度が設けられております。  また、県立医療大学の授業料減免につきましては、現在、大学等における修学の支援に関する法律に基づき実施しており、約700名の学生のうち、約60名に適用されております。  さらに、要件に該当した学生は、日本学生支援機構からの給付型奨学金も利用することができますことから、真に支援が必要な低所得者世帯の学生に対する経済的負担の軽減が図られているものと考えております。  なお、東京都で検討されているような大学授業料の実質無償化については、現時点では、大阪府で類似の取組が実施されているのみであり、そもそも大学などにおける修学支援の拡充については、国が全国一律で実施すべきものでありますことから、慎重に対応せざるを得ないと考えております。  最後に、奨学金の返還支援につきましては、結婚や子育てを控えた若者の経済的な負担軽減に加え、人材確保が課題となっている県内企業への就職につながる可能性もあると考えられますので、返還支援を行う企業への県の助成など、他県の制度や実施状況を踏まえ、検討してまいります。  県といたしましては、引き続き、子育てや教育にかかる経済的負担の軽減を図ることにより、県民が安心して子どもを産み育てることができる社会づくりに向けて全力で取り組んでまいります。  次に、酪農・畜産の飼料高騰対策についてでございます。  原料の多くを輸入に頼っている配合飼料につきましては、原料価格や海上運賃の上昇、為替相場が円安傾向にあることなどの影響により全国的に価格が急騰し、畜産経営に打撃を与えている状況でございます。  本県の酪農家戸数は292戸であり、飼養頭数は約2万4,000頭となっており、5年前と比較して、戸数は3割減少しているものの、飼養頭数はおおむね横ばいで推移しており、規模拡大が図られているところですが、配合飼料のみならず、同じく輸入に頼る牧草も飼料として使用しているため、経営への影響が大きいものと認識しております。  こうした中、県では、激変緩和対策として、配合飼料価格上昇分の一部が補填される国の配合飼料価格安定制度における生産者積立金の全額分を支援するための事業を9月補正及び1月補正で予算化したところです。  しかしながら、飼料価格については、依然として先が見通せない状況であることから、国においては、配合飼料価格安定制度の補填金に加えて、特別補填金が支払われているところであり、今後も継続した措置が行われるよう国に要望してまいります。  私は、かねてから、本県の畜産業が持続的に発展していくためには、飼料価格高騰などの影響を受けにくい、より強い畜産業への構造転換を進めることが重要だと考えております。  本県においても、配合飼料原料の大半を輸入に依存しており、配合飼料全体に占める食品残渣の活用は全体の5%にとどまっている状況です。  このため、まずは輸入飼料から国産飼料への転換を図ることを目指し、県内の食品残渣などの未利用資源の利用拡大や、牧草などの自給飼料の生産拡大を支援するための事業を9月補正により予算化したところです。  その結果、大豆食品の残渣を乳用牛に給与する事例や、耕種農家と連携して飼料用トウモロコシなどを栽培する取組が始まっているところです。  さらに、2021年7月に立ち上げたいばらきフードロス削減プロジェクトにおいて、県内の酪農家や養豚農家の代表などが参画する研究会を設置し、県内で発生する食品残渣の飼料化の拡大に向けた具体的な検討を進めているところです。  これを通じ、飼料国産化の取組を県内全域に拡大し、また、引き続き、国の経済対策や社会情勢を注視しながら、必要な対策を検討していくことで、飼料価格高騰に負けない、強い畜産経営を実現してまいります。  このほか、飼料価格が高騰したコストを販売価格に転嫁していくためには、差別化による付加価値向上も必要です。  このため、常陸牛については、脂肪の質に着目した新たな基準による新ブランド常陸牛の生産に取り組むほか、常陸の輝きについては、証明書の発行による流通管理の徹底など、さらなる畜産物のブランド強化を進めてまいります。  酪農につきましても、経営の安定化や所得の向上を図るため、高品質な生乳を安定して生産できる優良な乳用牛の導入を支援してまいります。  県といたしましては、これらの取組を通じて、飼料価格高騰の状況下においても、持続的に畜産業が発展していけるよう、飼料自給率の向上や、より強い経営体への構造転換を進め、本県の畜産業の振興を図ってまいります。  次に、高齢者の難聴対策と外出支援・地域交通の拡充についてでございます。  まず、高齢者の難聴対策についてでありますが、加齢性難聴は、50歳代から徐々に聴力が低下し、70歳を超えると半数近くに症状が現れるとされており、進行すると、抑鬱や認知機能の低下など、要介護状態に至るリスクが高まると言われております。  国の研究チームが実施した高齢者の聴力と認知機能との関連性の調査では、難聴がある場合には、聴力に問題がない場合と比較して、1.6倍多く認知機能が低下しているとの実態が報告されております。  さらに、今年度、国では、聴覚や認知機能の衰えを自覚している高齢者を対象に、補聴器の使用による認知機能や日常生活の変化に関する研究を実施しており、間もなくその結果が公表されると伺っております。  このように、国において、加齢性難聴の実態調査や医学的知見を踏まえた補聴器の効果検証が行われている中、県として独自に実態調査を行うことは考えておりません。  次に、補聴器の購入に対する支援につきましては、耳元で大きな声で話さないと聞き取れないような重度・高度の難聴で、身体障害者手帳が交付される方を対象に、国の補助制度が設けられております。  県といたしましては、国における補聴器の使用と認知症予防との関連性に関する研究結果の報告がされていない段階であり、また、難聴の方に対する補助制度もありますので、県独自に補聴器購入の支援を行うことは考えておりません。  なお、超高齢社会の進展を踏まえれば、高齢者の難聴や認知症対策については、国で統一した施策を講じるべきと考えております。  次に、外出支援・地域交通の拡充についてでございます。  本格的な人口減少・少子高齢社会において、高齢者などの地域住民の身近な移動を支える地域公共交通の維持確保に当たっては、地域の交通事情や住民ニーズを熟知している市町村が主体的に取り組むことが必要であると考えております。  現在、県内全ての市町村において、地域公共交通の在り方を検討するための協議会が設置されており、地域住民や交通事業者とともに、県も委員として参画し、先進事例の紹介などの情報提供や助言を行っているところであります。  また、住民の移動手段の確保のため、市町村における公共交通空白地域へのコミュニティー交通の導入に対し、立ち上げ支援を行ってきたところであり、9割を超える市町村において、コミュニティーバスやデマンド型乗り合いタクシーなどが運行されております。  コミュニティー交通のサービス面の課題につきましては、昨年度、デマンド型乗り合いタクシーのAI化といったデジタル技術の活用による利便性向上など、地域の実情に合った新たな移動サービスの導入に取り組む市町村を支援するための事業を創設し、調査検討費用や初期費用など、立ち上げに必要な費用の一部を支援しているところでございます。  県といたしましては、引き続き、市町村の取組を支援してまいりますとともに、交通事業者の取組とも連携を図り、地域交通の拡充に努めてまいります。  次に、新型コロナウイルス感染症対策についてでございます。  まず、高齢者を守るための対策についてであります。  かつてない規模で広がったオミクロン株による感染拡大ですが、感染性は高いとされているものの、致死率・重症化率につきましては、従来株のものと比較すると低い水準で推移しております。  一方で、国のアドバイザリーボードによりますと、致死率は低下しても、感染者数の圧倒的な増加に伴い、死亡者数の実数は増加しているとの指摘があります。  また、本県におきましては、死亡者数の大半を基礎疾患を有する高齢者が占めていることから、特に重症化リスクの高い高齢者が多く入所する高齢者施設における感染対策は引き続き必要であると認識しております。  そのため、これまでも、保健所によるクラスター事例に対する個別支援のほか、その検証結果や国立感染症研究所による現地支援の際の助言などを関係機関と共有し、感染対策の強化を図ってきたところであり、今後も継続してまいりたいと考えております。  加えて、現在、国において、5類への位置づけ変更に伴い、入院調整の在り方や高齢者施設への検査・医療支援などの各種対策・措置の段階的見直しについて、具体的な内容の検討・調整が進められておりますことから、その結果を踏まえ、県として必要な対策を講じてまいります。  なお、施設内療養に対応した高齢者施設に対する補助につきましては、施設種別ごとに上限額が定められております。その上限額を超えた場合には、事業者が県を通じて国に対する個別協議を行い、国が認めた場合に限り、例外的に上限額が引き上げられる仕組みとなっているため、県では、これまで施設からの全ての申出について国の協議につないでまいりました。  しかしながら、この補助金は、地域医療介護総合確保基金を原資としており、国からは、療養者の数にかかわらず、現状の制度下では、県からの基金増額の協議には応じない旨、通知があり、補助財源が確保できないため、やむを得ず個別協議の申請受付を取りやめたものであります。  次に、医療提供体制の整備についてであります。  5類への位置づけ変更を踏まえ、県といたしましては、これまで、新型コロナウイルス感染症の診療に当たってきた医療機関に引き続き対応していただくほか、今後は、インフルエンザ同様、全ての医療機関で診療していただける環境を整備したいと考えております。  具体的には、入院受入医療機関や診療・検査医療機関以外の医療機関にも対応していただくため、県医師会などの協力の下、新型コロナウイルス感染症の診療経験を有する医師を講師とした研修会を実施してまいります。  さらに、これから診療に対応するに当たって、感染対策や準備を新たに講じることが必要となる医療機関への支援などを適時適切に行ってまいります。  県といたしましては、5類移行後も、重症化リスクの高い高齢者を含め、県民の安心を確保するため、医療提供体制の整備などの各種対策に全力で取り組んでまいります。  次に、東海第二原発の再稼働・運転延長問題についてお答えいたします。  まず、原子力発電所の運転期間に関する新たな安全規制制度に対する受止めでございます。  今回の制度改正について、原子力規制委員会では、高経年化した原子力発電所に関する必要な安全規制を引き続き厳格に実施するための法的枠組みとしておりますが、現在、制度の詳細化に向けた議論が行われており、そうした中で、新たな制度が原子力発電所の安全確保にどのようにつながるのか、国民に対し、丁寧に説明していくことが重要であると考えております。  なお、今回の制度改正を受けた東海第二発電所の運転期間につきましては、日本原子力発電から具体的な方針が示されておりませんので、現時点での所感を申し上げることは差し控えたいと存じます。  次に、再生試験片を用いた原子炉圧力容器の健全性評価手法の信頼性についてでございます。  この評価手法については、原子力規制委員会により技術的な妥当性の評価がなされているところと承知しておりますが、県といたしましては、再生試験片の信頼性について、既に県民意見も踏まえた論点の一つとして、東海第二発電所安全性検討ワーキングチームにおいて検証を行っているところでございます。  今後、日本原子力発電から試験片の再生方法などについて、さらに具体的な説明を受けた上で、その結果を県民に分かりやすく公表してまいります。  次に、避難所における1人当たりの面積についてでございます。  県内の全ての市町村において、自然災害などに備え、縦横がそれぞれ約2メートルのパーティションテントなどを備蓄しており、いずれの市町村も2名以上の収容を想定していることを踏まえ、通路を除く個人の専有スペースを2平方メートル、通路などの共用部分を含めれば1人当たり3平方メートルとしているところでございます。  なお、この面積の考え方については、先般開催された避難所検証委員会においても、避難所のスペースを感染症対策及びプライバシー確保にも考慮しながら活用する観点から有効であるとの御意見をいただいたところでございます。  さらに、医療機関・社会福祉施設における避難計画の策定状況でございますが、先月1日現在で、医療機関114機関のうち43機関、また、社会福祉施設481施設のうち324施設が策定済となっております。  県といたしましては、医療機関や社会福祉施設の管理者の責務として、避難計画の策定は必要と考えており、これまで避難計画のひな形を示し、説明会の実施や個別協議により計画策定を支援してまいりました。  さらに、今年度から、医療機関の策定を促進するため、計画策定を保健所による医療機関立入検査の重点項目として新たに位置づけ、策定状況を確認し、未策定の場合には、策定に向けた指導や助言を行ってきているところであります。  引き続き、避難計画が未策定の医療機関などに対する説明会や個別協議の実施などにより、計画策定を促進してまいります。  また、東海第二発電所の再稼働につきましては、実効性ある避難計画の策定並びに県原子力安全対策委員会における安全性の検証結果などを県民の皆様にお示しした上で、県民の皆様、避難計画を策定する市町村、県議会の御意見を伺いながら判断してまいります。 69 ◯石井邦一議長 次に、森作教育長。                    〔森作教育長登壇〕 70 ◯森作教育長 教育行政についてお答えいたします。  まず、特別支援教育と不登校対策についてでございます。  小中学校における不登校の要因は、無気力・不安が約5割で最も多い状況にありますが、友人関係や学力不振などを要因とするものの中で、コミュニケーション障害やディスレクシアなどの発達障害が原因となっている場合には、個別の教育支援計画の作成・活用を通して、一人一人の障害の状況に応じた支援の充実を図る必要がございます。  本県における個別の教育支援計画の作成状況でございますが、公立小中学校の特別支援学級や通級指導対象の児童生徒については100%作成されております。また、個別の教育支援計画の進学先への引継率は、小学校から中学校等へ進学する段階では、通常学級に在籍している児童生徒などを含めて約95%となっており、多くの児童生徒の必要な情報が引き継がれている状況にあります。
     一方、文部科学省が昨年12月に公表した調査結果によれば、小中学校の通常学級で特別な教育的支援が必要な児童生徒の割合は約8.8%となっており、通常学級でも、これまで以上に個別の教育支援計画を活用した支援が必要となっております。  このため、より多くの教員が個別の教育支援計画の活用などについて学べるよう、現在実施している新任の特別支援学級及び通級指導担当者を対象としていた対面での研修に加え、来年度から新たにオンデマンド型の動画研修を導入してまいります。  あわせて、市町村教育委員会及び学校管理職を対象とした学校訪問を実施することで、個別の教育支援計画の活用をこれまで以上に働きかけてまいります。  また、県では、個別の教育支援計画に関する保護者向けリーフレットを作成しておりますので、全ての保護者に周知するよう、市町村教育委員会に対して働きかけてまいります。  このほか、通常学級に在籍する発達障害など何らかの困難を抱える児童生徒を支援していくためには、障害の状態に応じて、特別な教育課程による指導を行う通級指導の強化が重要でございます。  通級指導は、現在、児童生徒が在籍する学校で行う自校通級と、児童生徒が近隣の学校に出向いて指導を受ける他校通級が一般的な形態となっております。来年度からは、新たに、より多くのニーズに対応できるよう、担当教員が複数の学校を巡回して指導する巡回型の通級指導について、県内5市で実践研究を実施するとともに、その成果を他の地域にも波及させてまいります。  県といたしましては、個別の教育支援計画の活用をはじめ、発達障害のある児童生徒に対する個別の教育的支援の充実を図ることで、小中学校における特別支援教育を推進してまいります。  次に、教職員と専門・支援スタッフ配置の拡充についてでございます。  教職員の定数につきましては、いわゆる義務標準法及び高校標準法によって定められており、学級数や生徒定員等により算定されることから、児童生徒数が減少すれば教職員の定数も減ることになります。  そのため、小中学校では、近年、児童生徒の減少に伴い、通常の学級数の減少が続いておりますが、特別支援学級に在籍する児童生徒が増えていることから、全体の学級数は緩やかに減少し、必要な教職員定数も徐々に減っております。  また、高校においては、生徒定員の減少に伴い、教職員定数は減少しており、特別支援学校では、児童生徒数の増加に伴って、教職員定数が増えている状況でございます。  このような中、県では、学校統合などによる教職員定数の減や定年年齢の引上げなども考慮しながら、教職員定数全体を見据えて計画的に採用しているところです。  教員の採用に当たりましては、教員選考試験の日程を前倒しして他県との併願を可能にしたり、東京や大阪、福岡などに試験会場を設けたりするなど、志願者にとって受験しやすい環境の整備に努めております。  この結果、2020年度は2,793人であった志願者数が、今年度は3,780人と大幅に増加し、志願倍率は2.88倍から4.12倍へ向上しております。  一方、教員不足が生じる主な要因は、産前産後休暇や育児休業等を取得する教員が増加しており、その補充のための講師候補者が少ないことにございます。  この補充のための講師を確保するために、県では、これまで、ハローワークや県の広報紙による募集の案内、退職教員の積極的な活用を行ってまいりました。  さらに、今年1月と2月には、教員再チャレンジ研修会として、教員免許を所持しているものの、教職から長期間離れている方などを対象に、現在の学校現場の現状や講師登録の方法等について説明する機会を設け、2会場合わせて100名の方々に参加いただいたところです。  加えて、新たな取組として、今年の4月から7月までの間に産休や育休を取得する予定の教員がいる場合には、補充のための講師を年度当初から配置することで、年度途中の教員不足の解消を図ってまいります。  次に、専門・支援スタッフの配置の拡充についてでございます。  県では、全ての公立小中高等学校等にスクールカウンセラーを配置し、子どもたちが不安や悩みなどを相談できる体制を整えております。  さらに、新型コロナウイルス感染症による生活環境の変化に伴い、児童生徒からの相談ニーズが高まったことを受け、2019年度から2022年度までにスクールカウンセラーを33人増員し、相談回数や時間が十分でないと考えられる学校に、より長く配置できるよう調整を行ってきました。  一方、各学校では、児童生徒へのカウンセリングや保護者への助言はもとより、カウンセラーを講師とした研修などにより教員の対応力を向上させるなど、相談体制の充実を図っております。  また、学校生活上の諸問題の背景にある生活環境の改善を図るため、スクールソーシャルワーカーを各学校からの要請に応じて派遣しております。  スクールソーシャルワーカーにつきましても、児童生徒やその家庭を取り巻く環境の変化に伴い、年々需要が高まっておりますことから、2019年度から2022年度までに派遣回数を約900回拡充し、多岐にわたる問題の解決に向け、支援の充実を図っております。  来年度においても、スクールカウンセラーの配置人数とスクールソーシャルワーカーの派遣回数については拡充する予定でおります。  県といたしましては、今後も、欠員補充のための講師確保と専門スタッフの充実により、子どもたち一人一人の状況に応じた支援を図ってまいります。 71 ◯24番江尻加那議員 再質問します。 72 ◯石井邦一議長 江尻加那議員。                   〔24番江尻加那議員登壇〕 73 ◯24番江尻加那議員 知事に、2点、再質問させていただきます。  1つは、学校給食の無償化について、県立特別支援学校などの給食が、低所得者向けに就学奨励費で減免されていることは分かっています。しかし、それでいいのかと質問しています。  今、県内市町村で無償化が広がったときに、例えば、水戸市の子どもが水戸市の学校に行ったときには無料になるけれども、同じ市内の支援学校に行ったときには給食費が有料、この差が子どもたちに残されたまま置き去りにされたままでいいのかと、県としての知事の所見を伺います。  2つ目には、東海第二原発のさらなる運転延長問題についてです。  そもそもなぜ東海第二発電所を含め試験片が4つしかないのか。それは、原子炉設置時に事業者が国に提出した書類に運転期間40年と記載されているからです。だから4つで足りるとしてきたのではないでしょうか。  しかし、今、40年をさらに超え60年、そして今度は60年まで超えようとしています。技術者のグループ、専門家は、こうした再生試験片による評価はトラブルが計り知れず、いわゆる「だろう運転」にほかならないと指摘しています。こうした危険な賭けはありません。  県として、今まさに60年まで運転期限を撤廃しようとしている政府に対して、これは認められないと言うべきではないか、再度、知事に伺います。 74 ◯石井邦一議長 江尻加那議員の再質問に対する答弁を求めます。  大井川知事。                   〔大井川和彦知事登壇〕 75 ◯大井川和彦知事 再質問にお答えします。  県立学校の低所得世帯の生徒に対しては、生活保護法に規定する要保護者などへの就学援助が、特別支援学校に在籍する児童生徒に対しては、特別支援教育就学奨励費による公費負担が行われております。  県といたしましては、現在の公費負担は適切であると認識しており、県立学校に対する学校給食費のさらなる支援は現状では考えておりません。  東海第二原発の件については、国の安全性の検証なども踏まえて、県の原子力安全対策委員会でさらなる検証をするものと認識しております。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 76 ◯石井邦一議長 以上で、本日の日程は全て終了いたしました。  次回は、明3月10日午後1時から本会議を開き、一般質問、質疑を続行いたします。  本日は、これにて散会をいたします。                     午後4時31分散会 Copyright © Ibaraki Prefectural Assembly, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...